09 バルディ男爵邸にて_03
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ふぅ~っ。あまりフォーマルでなくて、ホンとよかった。
まぁ、……。何とか、上手くこなせたかな?
私(英子)は、初めての貴族との食事を無事済ませたことに、内心ホッとしていた。
軽めの晩餐が終わると、先ほどより斎木はこの家の当主バルディ男爵と、日本から持ち込んだウィスキーを共に嗜みながら、何事か話し合っていた。
すると、食事の間中、ずっとソワソワとしたご様子だった女子陣が、席をお立ちになってこちらを取り囲みなさったのだ。
「エイコ嬢、……。あなた、とてもお綺麗ですわね?」
「えっ、……。えぇ、まぁ」
バルディ男爵の奥方様が、こちらでは何とも返答しづらい質問をされてこられた。
まぁ、とりあえず、……。奥方様にも愛想よくスマイル、スマイル、……。
そう英子が心がけていると。
奥方様とお嬢様は、まじまじとこちらの、主に顔をご覧になられた。
「エイコ様、マギーにもお化粧なされたでしょ?」
あぁ、あの女中の若い子、……。マギーっていうんだ。
ちらりとマギーを見ると、彼女は他の女中や召使い仲間から、熱い視線を浴びているようだった。
「えぇ、……。私のいた日本国のお化粧が、こちらヤムント国でも受け容れられるのかどうか、知りたかったんです。ご興味をお持ちですか?」
「はいっ!」
お嬢様は、実に正直そうな満面の笑顔で、こくりと頷かれた。
「エイコ嬢、……もしよろしければ、私どもにもして頂けないかしら?」
奥方様が、こちらの様子を窺うように、少し遠慮がちに仰った。
「えぇ、もちろんですよ」
笑顔でそうお伝えすると、奥方様とお嬢様は「まぁっ!」、「やった!」と、それぞれ嬉しそうに微笑んだ。
さて、……。こちらは、その母娘の顔の造形をじっと見て分析する。
ふむふむ。田舎貴族とはいえ、上品さもあって感じのいい方達かも。
その性格の良さが、顔の造形にもしっかりと表れている感じかなぁ、……などと英子は思った。
「マギー、ちょっとこちらにいらっしゃい!」
奥方様はそう仰って、先ほど化粧を試した女中、マギーを呼んだ。
「はい、お呼びですか、奥方様?」
マギーは少し緊張した面持ちで、こちらにやってくる。
すると、奥方様とお嬢様は、マギーの化粧を施した顔をまじまじとご覧になっていらした。
何だろう、……。お二人とも、時おりため息をお吐きになられていらっしゃるんだけど。
一方、マギーは耳まで真っ赤にさせて、その貴族の母娘の熱視線を、全身小刻みに震えながら受け止めていた。
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