08 ウエルカム トゥー ヤムント国!_03
* *
「あれっ!? もういなくなっちゃったのかなぁ、……」
車両を降りた英子は、先ほど見た珍しい模様の翅の蝶を探し、しばらく辺りをうろついていた。
でも、初めての異世界だ。
時おり車両の傍に立っている斎木の方を見ると、「お~~いっ!」といって、確認の知らせに両手を大きく振った。
すると、相手も笑顔で右手を振って返してくる。
あんまり、こちらの我儘で、時間を取らせてはイケないからね。
英子はそんなことを思いつつ、野草をかき分けて、件の蝶を探した。
その散策中、他にも珍しい形の昆虫を見かけたり、先ほどではないけど、美しい翅の蝶を見かけたりもした。
「見つけた、……」
かれこれ10分ほど経った頃、もう諦めかけたところに、漸く同じ柄の蝶が再び空を舞うのを見かけたのだ。
英子はおそるおそる近づくと、その蝶の進行方向の直ぐ先に右腕を伸ばし、人差し指をスッと立てた。
蝶はひらひらと、その指先に向って止まろうとした、……。
その瞬間。
突然、その蝶に手を伸ばしたその直ぐ先に、……。一本の矢が、シュッと飛び込んできた。
「うわっ!?」
英子は慌てて右手を引っ込めると、その草むらの先を、じっと目を凝らして見た。
「えっ!? えぇ――っ!!??」
薄黒い、……。まるで樹々の影のように煤けた、深緑色の身体の魔物。
英子の双眸が、じっと見つめる。その人間の子供と同じくらいの背丈、150センチメートルほどの2足立ちした魔物と、思わず目が合った。
「ヒィキィィィィィィ―――ッッ!!」
魔物は英子の耳をつんざくような叫び声を上げると、再び弓に矢を番えた。
他にも、ぞろぞろと、……。灰色の狼に跨った魔物達。
ヤバい! ヤバいヤバいヤバいっ!!
英子の全身の血が沸騰する。
SUVのドアが閉じ、車両が急発進する音と共に斎木が叫ぶ。
「英子さんっ、車ぁ飛ばしますよっ! この手に掴まってくれっ!」
「はいっ!!」
斎木の伸ばした手に思わずしがみ付くと、英子はそのまま勢いよく助手席に飛び乗った。
次の瞬間、パジェロは猛スピードで渓谷を飛ばしていく。
「魁!断筆姉さん!!」をお読み頂き、ありがとうございます!
英子の作家魂や、仲間たちとの冒険を楽しんで頂けたら嬉しいです!
この物語を気に入って下さったら、☆評価やブックマークで応援して頂けると、作者の励みになります!
英子と一緒に次の展開を盛り上げるため、ぜひ力を貸してください!✨




