08 ウエルカム トゥー ヤムント国!_01
「それにしても、……。まさか、ここの神社だったんですね!?」
深夜の霞が関。その某所にある神社の境内に、エンジンがかかったまま、大型のSUVが停車している。
その車内には、ハンドルを斎木が握っていて、英子は助手席に控えていた。
「驚かれたでしょう?」
斎木がいささか興奮気味の英子に、悪戯っぽく笑い返してきた。
「えぇ。だって、たまに買い物で神社の前を通っていたんですよ。さすがに驚きましたよぉ!」
「ふふふっ。とりあえず、次の次元振動のタイミングまで、このまま待機をお願いしますね!」
「了解!」
英子が茶目っけたっぷりに敬礼をして応じると、斎木もくすぐったそうに笑顔で頷いた。
先ほど22時30分に、これまで過ごしてきた公務員施設を抜け出して、今は斎木と2人きりで国防色のパジェロの中で待機中。
境内は照明が少ないために暗く、室内灯のオレンジ色の光のみが、ぼんやりと灯っていた。
「何だか、境内は真っ暗で怖いですね?」
「大丈夫ですよ。我々はこれから異世界にいくんです。これぐらい、どぉ~ってことありませんよ!」
「ふふっ、確かに!」
ここで、お互いに笑い合う。
「次の次元振動は、翌日の2時30分です。時間まで、寝ていて構いませんよ!」
「そうですね。では、お言葉に甘えて、しばらく休ませて頂きますね」
そう言って、英子は静かに目を閉じた。
「……、英子さん、英子さんっ!」
斎木から肩を揺すられて、漸く目が覚めた。
私って、かなり緊張していたはずだったのに、……。かえって、眠り込んじゃったみたいだと英子は思った。
「斎木さん、そろそろ時間ですか?」
「はい。これから、異世界のヤムント国に向かいますよ!」
「……、はい」
私は大丈夫。斎木さんと一緒なら、どんな世界でも構わない、……。
「それではいきますよ! 英子さんっ、……。覚悟を決めましたか?」
「はいっ!」
英子は斎木のその言葉に、……、生唾を飲みながら、ひとつだけ返事をして頷いた。
それをこちらの了承とみたのか、斎木は車両の前照灯をハイビームにして、ゆっくりと、その不自然に深くぽっかりと空いた社の中に車両を進めていった。
2人を乗せた自衛隊仕様の深緑色のパジェロが、霞が関の外れにある神社から、暗いゲートを抜けていく。
しばらくの間、漆黒の闇の中を進んでいくと、……。
遠くの方に白い点のような光が見え、更に進んでいくと眩い光となって、英子の目を襲ってくる。
すると、先ほどまで現代日本のコンクリートジャングルの最中だったのに、……。
そこは遠くの方まで見渡せる、見晴らしのいい渓谷だった。
「魁!断筆姉さん!!」をお読み頂き、ありがとうございます!
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