01 斎木茂吉って知ってる?_03
* *
「何それ?」
「いいから、見てみ!」
英子が緑子から渡されたそれは、A4の紙数枚で、……。どうやら、ネットのとあるWeb日記をプリントアウトしたもののようだった。
その一枚目のトップページと思しきプリントには、中世ヨーロッパ風の不思議な街の写真が、カラーで印刷されていた。
「CG?」
思わず英子は目を見張った。もしかすると、最近流行り出している3DCGアートではないかと思ったのだ。
実を言うと、英子もそれらグラフィックソフトに手を出そうかと思っていたのだが、……。
マヤとかソフトイマージュとか、あいにくそれらソフトは大変高価なため、なかなか手を出しづらいのも事実だった。
すると、緑子もこちらの表情を見て、ひとつ頷いた。
「うん、……私もそう思う。おそらく、かなり腕のいい職人のいる事務所が作ったのかも」
「なるほど」
英子はしばしの間、その街、おそらく王都? の風景をじっと黙って見つめていた。
その街の風景は、まるで別の世界の現実を写し取ったような、精密な描写だった。
ベージュ色の壁の建物が並び、その建物の一階が店舗で、何やら商品が並んでいる。
客らしき人物と店員のやり取りの前の往来には、多くの馬車が行き交っている。
その脇をベージュやカーキ色の簡素な服を着た大人、子供、若い女、車夫のような一群や、職人風の男、中年の女性が歩いている、そんな風景。
英子の眼には、とてもこれが作り物には思えなかった。
「これが、その斎木茂吉のWeb日記のトップページ。ウチらの間でも真偽が定かでなくてさ」
緑子はいわゆるCGクリエーターで、フリーでテレビ番組のCGを作って生計を立てている。
本人いわく、そのウチ自主制作の映画を作りたいのだとか、……。
「なるほど、凄いな。これは海外のエース級のCG職人たちが集まって作ったのかも?」
思わず、英子は唸らざるを得ないほどの出来だった。
どうやら今日、この飲み会に参加して正解だったようだ。
今回緑子から齎された情報は、英子にとって喉から手が出るほどのものだった。
飲み代は高かったけど、……。でも、十分元を取れたと思った。
「「「「「かんぱぁ~いっ!!」」」」」
本日の他の参加者たちは、これで5回目の乾杯の挨拶をしていた。
飲み放題のため、飲まないと元を取れないと思っているのだろう。男性陣は羨ましいくらいにビールの大ジョッキを片手に、ごくごくと喉を鳴らして飲んでいた。
「それで、緑子。その斎木さんって人って、どんな人なの? 見るからにお役人って感じの人なの?」
「いや、かなりのイケメンという噂。でも見た目30歳くらいのオジサンらしいよ」
「へぇ~、……。ならイケオジか。でも変な性質のオジサンだったりしない?」
「何それっ? イケオジって!? きゃはは、英子、また変な言葉流行らせたりしないでよ!」
「へへへっ! 私が、変なお姉さんでぇ~すっ!!」
「やだっ、何それぇ~っ!」
そう言って、緑子が英子の肩に抱き着いてくる。
それから、緑子は英子の耳元に口を近づけて、こう囁いた。
「でもさ、……。いくつか、サポートして貰うには条件があるらしいよ!」と。
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