07 まさか、ゲートが霞が関にあるだなんて_02
* *
英子は斎木から指示を受け、田舎の父親に久しぶりに連絡を入れた。
すると、呼び出し音を数回鳴らしたところで、父が電話に出てきた。
「もしもし、英子です。お父さん、元気?」
『英子か、……。そっちはどうだ?』
「まぁ、ぼちぼちかな、……」
とは言っても、私が先日まで過労と栄養失調で入院していたことは、黙っておこうと英子は思った。
『そうか、……。オレは肝臓の方がな、……。まぁオレのことはいい。オマエこそ、どうなんだ?』
「うん、大丈夫、大丈夫! 問題ないよ!」
『そうか、……。とりあえず、身体だけは壊さないでいてくれたら、……それでいい!』
「うん、ありがとっ!」
英子は父親からこちらの様子を見ることができないのにも拘らず、笑顔を作って、ひとつだけ頷いた。
とりあえず、父親の声から察するに、まだまだ身体の方は大丈夫そうだ。
なら、さっそく本題の方に話を進めてみようかと思った。
「お父さん、……。私ね、しばらくの間なんだけどさ。お仕事の都合で海外にいって、研修を受けてくることになったんだ!」
『……。そうか』
「うん」
良かった。父親から、以前みたいに絵のことでとやかく言われると思ったから、……。
「それで、英子。いつから、……その研修とやらで海外にいくんだ?」
「再来月から。でも、その前に国内で事前研修があるからさ、……。今の下宿先を引き払わないとイケないの!」
そう伝えつつ、下宿先の私物をこれからどうしようかと、部屋を眺めながら英子は思った。
『そうか、……。なら、実家まで送ってくれたら、後は全てこちらでやっておく!』
「ありがとう、……お父さん!」
そう言って感謝の気持ちを伝えると、静かに受話器を降ろした。
思い切って、相談して良かった。父親とはほんの少しだけ、わだかまりがあったんだけどさ。
結局、私の粘り勝ちなのかなぁと英子は思った。
改めて、自室を見回した。元々ミニマリストを自称する英子だったが、……。
いやぁ~、……。溜めに貯めこんじゃったかなぁ。
これまで集めてきた大量の資料本は、思い切って大手の古本屋に持っていって、全て処分した。
これまで描いてきた大量の作品は、フリマに出店したり、バイトの勤め先だった美術予備校で引き取って貰うことができた。
さて、……と。
パソコンは中身を見られたら困るから、ハードディスクだけ抜き取って、ガワは全てネットオークションで処分した。
机や家具、寝具も最小限だったので、これらは実家に送ることにした。
公共料金も、全て解約した。
数日経ないウチに、10年近く住んだ下宿先は、元のがらんどうになった。
ふふっ。まるで都心で夢破れて田舎に帰る人みたい、……。
ホンと「断筆」してしまった人みたいだなぁと思ったり、……。
でもさ、……。次の生活に進むためには、この行いこそ必須なんだよと英子は思った。
これで、とりあえず英子の身辺整理は、……全て終わった。
「魁!断筆姉さん!!」をお読み頂き、ありがとうございます!
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