06 私、ヤムント国にいきます!_06
* *
「まぁ、……。要は遠洋漁業に従事するようなものですな。しばらくの間は、知人とのやり取りもできずご不便かと思いますがね」
「は、はぁ、……」
英子は、斎木の言葉に一瞬息を飲んだ。
だって、よく聞く話でしょ。負債や借金を帳消しするために、マグロ漁船に数年乗船して稼いでくるって話。
まさか、なぁ、……。モノのたとえに、そんなことを話してくるだなんて、……さ。
「英子さんも、これから特殊公務員を務めて頂きます。世間の目から見て、一時的にあなたがいなくなるため、まぁ『失踪扱い』となってしまうのですが、……。それも致し方ありませんな!」
斎木はそう言って、ニコリと笑った。
「まるで、自衛隊の特殊作戦部隊の人達みたいですね?」
「ほぅ、……。よくご存じですね?」
「『別班』とか、呼ばれているとか、……」
「あいにく、私は陸軍出身ですが、今の自衛隊の組織には詳しくありませんので、……」
マズい。ちょっと、気マズくなってしまった。
「いや、いや、いやっ! 今の、忘れて下さいっ! 私のは、どうせ小説とか漫画から得た知識ですからっ!」
とりあえず、謝っとこうと英子は思った。
「あぁ、そう言えば、……。我々の計画では、そのウチに自衛隊が異世界で活躍する小説などを使って、若い人の採用を計画しているみたいですよ!」
「えっ!? それはホンとですか!? 自衛隊って、どちらかというとお堅いイメージがあったものですから!」
「ふふふっ、やっと笑ってくれた。冗談ですよ。まさか自衛隊が異世界ファンタジーアニメを使って、リクルーティングなんてするワケないですよね?」
「ですよねぇ―っ?」
良かった。斎木さんがこちらに気を遣ってくれて。
とりあえず、これからは言葉には気を付けよう、……と英子は思った。
とにかく、これから私は突然の「失踪扱い」となる。
いくら大金と仕事が手に入るとはいえ、何だかなぁとは思うんだけどね。
「おそらく、母校の大学の研究室では、私のことを仕事に敗れて絵筆を捨てた負け犬、『断筆姉さん』といって、面白おかしく笑ったりするんでしょうね」
そう呟いたところ、……。
「英子さん、あなたは決して負け犬などではありません。今回の任務に、この先30年の日本の将来がかかっています!」
「30年、……」
「あなたの双肩にかかっている、……。そう自覚して下さい!」
とても真剣な表情で、強く言われてしまった。
「失言でした。誠に申しワケありません」
そう言って、英子は深々と頭を下げた。
* *
英子は、ついに特殊公務員になる契約をしてしまいました。
その細い双肩に、日本のこれから先30年の将来がかかっているそうなのですが、……。
「魁!断筆姉さん!!」をお読み頂き、ありがとうございます!
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