06 私、ヤムント国にいきます!_04
* *
「では、これから交渉に入りますか?」
斎木のその言葉に、英子はこくこくと子供のように頷いた。
「先ずは、こちらから目を通して頂けますかね?」
そう言って、おもむろに契約書を数点、テーブルの上に並べてきた。
「作戦遂行計画同意書?」
英子はその契約書の表紙に目を落として、思わず呟いた。
何というか、その書類を見て直ぐに、海外のファンタジー映画のワンシーンを想像していた。
それは、まさに悪魔が人と契約を交わす時のそれで、……。
ここにサインをしたら最後、もう絶対抜け出せないと英子は思った。
書類から顔を上げると、目の前の斎木の顔を窺った。
すると、相手はニッコリと大人な笑顔を浮かべていた。
どうやら、さっきのことは気にしていないのかも、……。
英子は内心ではホッとするも、でもこちらの落ち度から、もうこの契約書からは逃れることができなくなってしまったと思った。
もしかすると、相手はこちらがこういう心理状態になることを見込んで、あえて自身の本当の姿をあぁやって見せ付けたのかもしれない。
いや、斎木に限って、そんな小細工をするだろうか?
考えれば考えるほど、頭の中でいろんなことが堂々巡りになってしまい、結局、斎木の笑顔を見て、何だかホッとした次第だ。
もう、斎木のことを信用して、さっさとサインしてしまおうと、……。そんな気持ちにすらなっていた。
「今回、英子さんが初めての女性雇用となります。これまでは男性小説家を数名、こちらでスカウトしてきたんですがね」
「その人たちは、今どうされているのですか?」
斎木はあっさりと、「現在も作戦遂行中ですので、……」といって、ただ微笑むだけ。
「……」
英子は、それだけで大体察した。
おそらく、かなり危険な任務も伴うのだろう。
「作戦遂行中、……。と仰いましたが、まるで軍隊の作戦のようですね? もしかすると、いま、この日本はどこかと戦争を継続中だったりするのですか?」
「えぇ。ホンの数年前まで、日本は経済が絶好調だったでしょ? それが、一気に崩れた。どうしてだか、おワカりになりますかな?」
「……」
やはり、斎木が言ったとおり、現在も日本は大国アルメリアと貿易戦争真っただ中にある。もしかすると、今回の件も、その数ある作戦の中のひとつなのかもしれない。
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