06 私、ヤムント国にいきます!_02
* *
斎木さんのような人が、いまだに独身でいるワケないじゃん、……。
英子は斎木に対し、半分疑うような目つきになって、「ホンとですかぁ~?」と訊ねた。
「そうですな。私の、この指輪が気になりますか?」
斎木はそう言って、自身の右手の薬指に嵌めている指輪を、もう片方の手で指さした。
「気になります。だって、斎木さんのような人がいまだに独身だなんて、あり得ないですもの!」
「ふむ。私の頃は、時代が時代でしたので、……。かえって結婚できない若者も多かったんですよ!」
何だろ、時代って? 結婚なんて、普通に生きていれば、誰でも直ぐにできるもんなんじゃないの?
英子が、そんな風に不思議に思っていたところ、……。
「そうですな。私は、今年で90歳になります」
突然の、衝撃的な告白。
「えっ!?」
英子はびっくりして、思わず相手の顔を覗き込んだ。
「本当ですよ!」
そう言って、斎木は静かに笑った。
「失礼ですが、……その指輪は?」
「あぁ、こちらはですね、……。実は年齢を固定化する魔石を備えた指輪なんです」
「……」
英子は、思わず相手の表情をじっと見た。
もしかして、こちらを揶揄っているのか?
でも、いささかも嘘を言っている表情には見えなかった。
「英子さん、この指輪の石は延命の魔石です。なんなら、本当の私をご覧になりますか?」
半信半疑で頷くと、……。斎木は、英子の右手を漸く解放した。
自身の右手から指輪を外して、こちらに向けてそっと翳してくる。
「お借りしてもよろしいのですか?」
「えぇ、……どうぞ」
そう言って、笑顔で頷く斎木。
英子は指輪をそっと受け取って、その石をじっと見る。
斎木からは、魔石と言われたんだけどさ。でも、……ただの紫水晶に見えるんだよね。
すると、……。
英子の目の前で、突然、斎木を包む空気が、蜃気楼のように揺らぎ始めると、……。
見た目30代前半風の斎木と、超高齢の老人のような斎木が、二重写しのように重なって明滅する。
「!?」
思わず、目を見張ってしまった。
まさか、斎木が言っていたことはホンとの話だったのかと、……。
英子は、もう概ね納得せざるを得なかった。
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