01 斎木茂吉って知ってる?_02
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今年は1999年。7月の初夏でまだ梅雨明けはしていないものの、久しぶりの晴れた天気だった。
夕暮れの池袋の、……とある居酒屋の月一の作家仲間との飲み会の席。
傍らでは、ノストラダムスの大予言が実行されるか否かを大声で議論している中、親友の緑子だけが英子にそう小声で訊ねてきたのだ。
「誰それ? 斎木茂吉? 詩人の斎藤茂吉じゃなくて?」
思わず英子も緑子に身を寄せて、小声で訊ね返す。
「うぅん。何かさぁ、……。すっごく偉い人らしいよ?」
「……。何やってる人?」
「霞が関のお役人様。ふらっと、ウチら新人の個展会場なんかに顔を出してさ。いろいろと創作の支援をしてくれるんだって!」
「ふむ」
英子は、それは大変ありがたい話だと思った。
バブル終了後、都心での下宿生活で、生活費はかつかつ。
英子もまた、バイトをいくつも掛け持ちしながら、創作活動に勤しんでいた。
「緑子さぁ、……。誰か知り合いにサポートを受けている人とかいるの?」
「ウチらの周りでは、いないかも」
「……、そっか」
でも、緑子によれば、異世界ファンタジージャンルの創作をしている人を重点的に補助しているらしい。
「異世界ファンタジー? お役人様が? 一体、何で?」
「うん、そう思うよね」
そもそも、海外の異世界ファンタジー小説の古典的名著とは?
英子は駆け出しの絵描き兼イラストレーターだが、読書も必要最大限に楽しんでいた。
とりわけ関心が深かったのが、メインモチーフである「異世界ファンタジー」だった。
海外の異世界ファンタジー小説の古典的名著として、トールキンの『ロード・オブ・ザ・リング』が好きだった。
壮大な世界観と詳細な設定で、中つ国を舞台に、指輪を巡る冒険が描かれる、まさに現代ファンタジーの礎を築いた作品。異世界ファンタジーの原型とも言える名著だ。
他にはルイスの『ナルニア国物語』や、ル・グインの『ゲド戦記』も上げられる。
ハワードの『コナン・シリーズ』とか、マーティンの『氷と炎の歌』も愛読した。
「そうだね、……。これらは異世界ファンタジーの発展に大きく寄与し、時代を超えて愛される名著だよね。興味があれば、トールキンやル・グインから始めるのがお薦めです!」
「ふふっ。英子って、ホンと異世界ファンタジー、大好きだよね?」
「まぁね。緑子さぁ、情報提供大感謝っ! 大好きぃ!」
そう言って英子が緑子に抱き着くと、「きゃは、やだぁ~っ!?」と、緑子も甘い声を上げて受け容れてくれる。
「で、……。これなんだけどさ」
緑子はそう言いつつ背後からナップザックを引っ張り出すと、A4の紙数枚を取り出した。
「魁!断筆姉さん!!」をお読み頂き、ありがとうございます!
英子の作家魂や、仲間たちとの冒険を楽しんで頂けたら嬉しいです!
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