05 機密解除、……とは!?_04
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「ウチの会社(本省)では、英子さんの作品が素晴らしいと考え、以前より計画に参加願えないか、話が進んでおりました」
「斎木さん、そうお褒め頂いて、作家冥利に尽きます。ですが、私がモチーフにする作品は、その多くが『異世界』をテーマにしております。そこのところは、どうなのでしょうか?」
英子は、とりあえず話に見落としがないように、細心の注意を払って斎木の話を伺った。
「『異世界』。ふむ、例えばトールキンの描く世界のようなものですかね?」
「えぇ、そうです。私は海外のファンタジー描写に感銘を受け、鼓舞されております」
「では、学生時分から英子さんの評価が高かったのは、その表現モチーフのためだと?」
斎木がくすぐってくる。褒められて、そうそう悪い気はしないけど、……。
「はい。ですが学生の時分、少々軽はずみと申しますか、私はそのアイデアを、研究室の知人複数名に、何ら隠すことなく公開しておりましたので、……」
「えぇ、存じております。それで、進学のチャンスを奪われなさったワケですよね?」
「え、えぇ、……。まぁ、有体に言えば……」
イケない。つい、うっかり喋ってしまったと、英子は少しだけ心に引っかかった。
「その後、いくつかのアルバイトを掛け持ちして、何とか創作活動に励んでなさった。2年前の『美学院展』でお出しになった作品は、こちらですよね?」
斎木はそう言って、その作品をA4版にプリントアウトしたものを見せてくれた。
「えぇ、こちらです。画商を通じて、仙台の男性の方に購入頂いたと伺っておりますが、……」
「現在その作品は、東北支部の会議室に、こうして飾らせて頂いておりますよ」
斎木が、指し示した購入者の名前は、画商から伺った人物と同じ名前。
むむっ、一体どういうこと? と英子は、更に不思議に思い始めた。
「つまり、英子さんのお描きになる世界は、我々がこうあって欲しいという表現にマッチしているんです。後はタイミングを見て、ウチの会社(本省)にご参加頂けないか、……。そこまで話は進んでおりました」
「……」
「そこで、……今回の件なのですが」
そう言って、斎木が次に出した書類は、英子の最新作。
せっかく描いたのに、「エース展」では「選外」、「落選」の憂き目にあった、あの作品だった。
「えっ!? えぇ――っ!?」
英子は、思わずその書類を手に取ると、……。それから、相手の顔をキッと睨んだ。
「魁!断筆姉さん!!」をお読み頂き、ありがとうございます!
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