05 機密解除、……とは!?_02
* *
「大藪さん、面会室に移動して貰っていいですか?」
若い看護師の女性が、斎木にひとつ頷いた後、こちらにそう伝えてきた。
「すみません、病室でうるさくしちゃって」
そう言って英子が詫びを入れると、相手は軽く笑顔で顔を左右に小さく振った。
「英子さん、……それではいきましょうか?」
「はい」
斎木の言葉に、こちらもひとつ頷いて起き上がる。
最近では、一人で立ち上がることもできるようになり、フロアの端の部屋くらいなら、車椅子に乗らずに、歩いていくことができた。
斎木が右手を肩に添えてくれて、英子は小声で「ありがとうございます」と言って立ち上がった。
「きゃーっ、エスコートよ!」
すると、わいわいと、病室全体が更に色めき立ってしまった。
中には、「英子さんは病み上がりなんだから、あんまり騒いじゃダメよ!」と中年の女性が呟いでいたが、……。
まぁ、そういう人は、いつだって少数派だなぁと英子は知っている。
とにかく、もう体調も良くなってきているみたい。
英子は、笑顔で斎木と2人で面会室に移動した。
段々と、斎木と親しくなってきた気がする。
そんなことを思っていると、斎木は黒い本革のカバンから、A4サイズのプラスチックの書類入れを取り出して、そっとテーブルの上に置いた。
「斎木さん、……これは?」
「はい、……実はですね、……」
斎木はそう言って、プリントアウトした自身のWeb日記のトップ画像を指さした。
「……」
英子は、斎木のその所作に、ある種の圧迫感のようなものを少しだけ感じた。
何だろう? もしかして、お小言かも、……。
「英子さん、これはね、……。まだ世間には公開してはマズい風景なんです!」
どういうことだろう? 思わず不思議そうな表情を作って、相手をじっと見た。
「これはね、私がとある国家の、その王都を写真で納めたものなんです」
「へぇーっ。写真なんですね? 最新のCGかと思っていました。一体、どこの国の何という名前の王都なんですか?」
「英子さん、……。あなたはね、いささか我々の世界に踏み込み過ぎてしまった!」
「……」
一体、どういうこと? 斎木さんは何を言っているのだろう?
その緻密に整った表情は、いくばくかの憂いを含んでいて、……。
これはもしかすると、単なるお小言では済まないのではないかと、……。英子は、少々心配になってきた。
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