04 霞が関のコンビニで、深夜のバイトを始めました_08
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下宿先に、帰ると一人。
英子は悔しさを引きずりながら、居間にポツンと立つと、……。漸く8月の夏本番の暑さに、思わずクラッとした。
「シャワー、……浴びよっと」
外着を脱いで、下着を脱いで、そのままの格好で洗濯機にかけると、風呂場でしばらくの間、冷水のシャワーを浴び続けた。
自然と涙がこぼれてくる。堪えようとすると、胸元がしゃくり上げてくる。
なるほど、……。これが嗚咽か。体験して、初めてワカった。
しばらくして居間に戻ってくると、ちょうど洗濯機のタイマーが鳴ったので、カーテンを開け、窓を開けて洗濯物を干し始めた。
さて、……。これから、私はどうしたらいいんだろう?
もしかすると、今回の「エース展」でどこかから「検閲」が入ったところからして、私には、もうどこにも発表する機会すら奪われてしまったのだろうか?
いくら力作を描いても、誰からも評価されないし、また公開することもできない。
なら、いっそ、……。
英子は干しものを終えると、パソコンの電源を入れ、OSが起動するのをじっと待つ。
そうだよ。今回の作品、……ネットで公開しちゃえばいいんじゃない、と。
大体、どこかから「待った」のかかった作品だ。おそらく、その影響力などを鑑みて、わざわざ刎ねてくれたんだろうからさ。
ナップザックから温くなったお茶のペットボトルを取り出して、ちびちびと飲みながら英子は考える。
もしかすると、「問題作」扱いで、ある程度の注目を得られるのかもしれない。
ちらりと、汗水垂らして上野から持ち帰った作品を見る。
何で、こんなに厳重に梱包しているんだろう?
私の「敵」達には、それだけ「雑」には扱えないだけのクオリティが、この作品にはあったということなのだろうか?
ワカらない。もう、これから何をするのが、一番の正解なのだろう?
テレビを点けると、昼のワイドショーが流れていて、飽きずにタレントのゴシップや、ラーメンや犬、猫の話。政治家の汚職や企業の法令違反について、……。
変わらない日常。私に何が起ころうとも、この社会も、世界も何も変わらない。
私は東京の一人の若者として消費され、いつかは「夢」破れて地元へと帰っていく。
そんな日常の一コマが、たまたま私にも訪れた、……。ただそれだけのこと。
英子は、膝を抱えて座ると、ここ数日間、ろくに寝ていなかったことを思い出しながら、ほの暗い世界の片隅へと落ちていった。
「魁!断筆姉さん!!」をお読み頂き、ありがとうございます!
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