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魁!断筆姉さん!!  作者: 西洋司


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04 霞が関のコンビニで、深夜のバイトを始めました_08

   *         *


 下宿先に、帰ると一人。

 英子は悔しさを引きずりながら、居間にポツンと立つと、……。漸く8月の夏本番の暑さに、思わずクラッとした。


「シャワー、……浴びよっと」


 外着を脱いで、下着を脱いで、そのままの格好で洗濯機にかけると、風呂場でしばらくの間、冷水のシャワーを浴び続けた。

 

 自然と涙がこぼれてくる。堪えようとすると、胸元がしゃくり上げてくる。

 なるほど、……。これが嗚咽か。体験して、初めてワカった。

 

 しばらくして居間に戻ってくると、ちょうど洗濯機のタイマーが鳴ったので、カーテンを開け、窓を開けて洗濯物を干し始めた。

 

 さて、……。これから、私はどうしたらいいんだろう?

 

 もしかすると、今回の「エース展」でどこかから「検閲」が入ったところからして、私には、もうどこにも発表する機会すら奪われてしまったのだろうか?

 

 いくら力作を描いても、誰からも評価されないし、また公開することもできない。

 なら、いっそ、……。

 

 英子は干しものを終えると、パソコンの電源を入れ、OSが起動するのをじっと待つ。

 そうだよ。今回の作品、……ネットで公開しちゃえばいいんじゃない、と。

 

 大体、どこかから「待った」のかかった作品だ。おそらく、その影響力などを鑑みて、わざわざ刎ねてくれたんだろうからさ。


 ナップザックから温くなったお茶のペットボトルを取り出して、ちびちびと飲みながら英子は考える。

 もしかすると、「問題作」扱いで、ある程度の注目を得られるのかもしれない。


 ちらりと、汗水垂らして上野から持ち帰った作品を見る。

 何で、こんなに厳重に梱包しているんだろう? 


 私の「敵」達には、それだけ「雑」には扱えないだけのクオリティが、この作品にはあったということなのだろうか? 


 ワカらない。もう、これから何をするのが、一番の正解なのだろう?


 テレビを点けると、昼のワイドショーが流れていて、飽きずにタレントのゴシップや、ラーメンや犬、猫の話。政治家の汚職や企業の法令違反について、……。


 変わらない日常。私に何が起ころうとも、この社会も、世界も何も変わらない。


 私は東京の一人の若者として消費され、いつかは「夢」破れて地元へと帰っていく。

 そんな日常の一コマが、たまたま私にも訪れた、……。ただそれだけのこと。


 英子は、膝を抱えて座ると、ここ数日間、ろくに寝ていなかったことを思い出しながら、ほの暗い世界の片隅へと落ちていった。

「魁!断筆姉さん!!」をお読み頂き、ありがとうございます!

英子の作家魂や、仲間たちとの冒険を楽しんで頂けたら嬉しいです!

この物語を気に入って下さったら、☆評価やブックマークで応援して頂けると、作者の励みになります!

英子と一緒に次の展開を盛り上げるため、ぜひ力を貸してください!✨

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