2.次期聖女
エーケが追放されることになり、「では誰が祈りを捧げるのか」と話題が切り替わる。すると、そこでまたウリギラが声を上げた。
「管理委員会はエーケ様の妹君、シャーレ様が賢者の杖に祈りを捧げられるという事実を確認しました。つまり、シャーレ様こそが真の聖女だったのです!」
あちこちで驚きの声が上がる。そして、ウリギラの部下に連れられ、エーケの妹であるシャーレが現れた。
シャーレは白く美しいローブを見に纏い、お淑やかに微笑んだ。
「わたくしは、この国のために祈りを捧げただけです」
それは普段の彼女を知る者からすれば真逆の姿に見えた。
普段の彼女はわがままで、姉のことを何も手伝わずに自分のことばかりする、そんな少女だった。
しかし、姉のエーケは「シャーレにはシャーレのやることがある」と、咎めることなく可愛がっており、シャーレが姉を煙たがっていると伝えても、彼女は「シャーレは自由なの」と嬉しそうに微笑むだけだった。仲が良いのか悪いのか。周囲の人間たちは彼女らの姉妹仲を掴みきれていなかった。
「さあ、シャーレ様。祈りを!」
ウリギラの言葉に従い、シャーレは姉と同じ姿勢で祈りを捧げる。すると、彼女の体が暖かい光包まれ、呼応するように剣が光を放った。
その光景を目の当たりした大臣たちは再び驚きの声を上げる。
エーケも同じように驚いていたが、その表情は喜びに満ちていた。
「シャーレ! あなた、ついに祈りを捧げられるようになったのね。ええ、ええ。私は知っています。あなたが努力を続けていたことを、神は見ていたのですね」
エーケはシャーレの手を握る。
しかし、妹はするりとその手を解き、姉にしか聞こえない声で呟く。
「……そういうところが嫌なのよ。自分は何でもできるっていう態度。まあ、これでサヨナラね、お姉様」
「シャーレ……」
エーケは言葉を続けようとしたが、管理委員会にやって引き離されてしまう。
「私の妹だもの。きっとできるわ、シャーレ」
離れる間際、エーケはシャーレに声を掛けるが、シャーレは反応しなかった。
エーケはそのまま、その場から連れ出されてしまう。