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紫乃の言葉世界⑥   作者: 紫乃
9/10

修羅を生きている女のあちき

快楽だけを求める殿方と


偽りの恋を求める殿方


女のあちきには

違いがわかるのでありんす



    《 おゆかり様の遊び方 》



 西洋の煙草をくゆらす おゆかり様は


散々 女を抱いてきて


女に飽きた様な顔をしてやすが


何故か あちきに逢いに来てくれんす



 金子を高う積み上げて


でも あちきの帯を


ほどこうともしねえのでありんす


床入りもしねえで


可笑しな話ばかりして


あちきを


笑わせてばかりなのでありんす



  それなのに


唯ひたすら 淫らでいろと


云うのでありんす


そんな遊びを楽しんでいましんす



 でありんすが 心の中では


あちきを


可愛がって下さってるのでありんしょう



優しい声をしてやすから





   《 快楽買い 偽恋買い 》



   色街に遊びに来る殿方は



   体が 寂しゅうて



   快楽だけを求める殿方と



   心が 寂しゅうて



   偽りの恋を求める殿方が



   居るのでありんす



   修羅を生きている女のあちき等も



   人の子でありんす



   快楽買いの金子と



   偽恋買いの金子の匂いが



   微かに 違うのは解りんす



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