紫乃の 貴方を思い
貴方の声が
貴方の唇
貴方の指
貴方を口に‥‥
《 分泌 》
ひとり 貴方を思い浮かべる
浅くなる呼吸
私の 喉の奥から…
私の 首筋から…
私の 手の指先から…
私の 両胸の先端から…
私の 爪先から…
体の奥に向かって
何かが流れ始める
早くなる呼吸
トロリと 甘味の感覚
キュッと 酸味の感覚
その感覚に 想いが混ざり
全身に巡り流れ出るもの
浅く早くなる呼吸
思い浮かぶ貴方の眼差し
貴方の声が 耳のすぐ傍から響き…
貴方の 唇の感触…
貴方の 指の動き…
貴方を口に含んだ時の その形…
貴方と 繋がり交ざって その体の躍動…
ひとり 浅く早くなる呼吸
ざわめく鼓動
貴方も 私を思い浮かべて欲しい
貴方が触れた時の私を…
体の奥に流れていたものが
体の外に溢れ出すような
その 巡り巡って流れるもの
分泌する
今 たまらなく貴方を抱きたいから
今 私を抱きに来て
《 宝物 》
季節 移りゆき…
貴方 移りゆき…
私 移りゆき…
絶対的な煌めきが 過去に遠退き、
想い出に生まれ変われば、
その時、
それを 宝物にして生きてゆく。