3/10
紫乃 見つめ合う二人の瞳
見つめい合い
口づけ
お互いの瞳に閉じ込めあい‥‥
《 樹の心 花の体 》
西洋の長椅子に、
まるで 勇ましい獅子の様な、
愛しい殿方が 一人で腰掛けているから、
着物の裾を少し捲り、
向かい合わせで膝に座れば、
あの方は 私の腰を支えて下さって、
その手の熱を、
着物の生地越しに感じながら、
見つめ合う。
見つめ合う二人。
あの方の目を見ても、
私の心は揺れない。
不安で揺れる事は無くなりました。
大きく枝を広げ、
大地にしっかり根を張っている様な、
揺れない樹の心。
見つめ合う二人。
見つめられる私の体は、
一輪の花の様に揺れていて、
あの方の膝の上、
一枚の花びらを震わせて、
もう一枚 花びらを震わせて、
吐息一つで揺れ続けるのです。
茎を捩って 揺れる花の体。
見つめ合い 口づけて、
愛しい殿方が 私を瞳に閉じ込める。
私もあの方を 自分の瞳に閉じ込める。