クエストを遂行するため俺は犬猿……鳥を集めた
集落を纏めている婆様からクエストが与えられた。
肉は食い飽きたから美味いもん探して来いっていうクエストを。
美味いもんかぁ、まあ当てはあるんだけどね。
土建屋だった曽祖父が残したノートに書いてあるから。
でも危険な所しか残って無いんだよなぁ。
曽祖父は戦前核シェルターを作った家を把握していて核戦争が起きた時、社員全員とその家族を引き連れて俺たちが塒にしている造りかけのトンネルに避難する。
それから把握していた核シェルターを次々と襲撃して食料など必要な物資を集めたんだ。
個人で核シェルターを造っていた所は軒並み襲撃していて、今残っている核シェルターは、金持ちや権力者が造ったシェルターなんだけど銃で武装している可能性が高いんだよね。
だから銃で撃たれる危険性を少なくする為に囮を使う事にする。
それで俺たち俺と集落の男たちは荒野で犬や猿を集めていた。
捕らえた犬や猿を棒で殴って追い立てる。
犬や猿を捕らえ棒で追い立ててるのを見た鳥たちが、お零れに預かろうとギャアギャア騒ぎながら空に群れていた。
犬猿……鳥を率いて俺たちは荒野を横切り、戦争前は大都市だった廃墟に足を踏みいれる。
廃墟のあちらこちらには金持ちだか権力者だかが設置した監視カメラが多数あったんで、俺たちは映らないように気をつけ、犬や猿の群れだけがシェルター周辺にいるように見せかけた。
出入口を見つけた俺は、これも曽祖父が残してくれていたダイナマイトを出入口の扉に括り付け点火。
爆発音と共に扉が吹っ飛んだ。
扉が吹っ飛びシェルター内部が丸見えになる。
そこに犬や猿を追い込む。
追い込まなくても爆発に巻き込まれた人の遺体を見て、嬉々とした表情でシェルター内に駆け込んで行ったけどな。
鳥も遅れてなるものかって感じでギャアギャア騒ぎながらシェルター内に飛び込んで行く。
と、シェルター内から銃撃音が響く。
やっぱり銃を所有していた。
俺たちは暫くの間出入口の脇で待機。
銃声が下火になってからシェルター内に潜り込み、生き残っていた犬や猿に鳥をぶち殺しながらシェルターの奥まで侵入。
シェルター内にいた人間は無傷か軽傷の奴らだけ助ける。
慈悲じゃないぞ。
シェルター内で得た食料やら物資やらを運ばせる為にだ。
シェルター内の生き残り共に略奪した物資を運ばせ、俺たちは使える銃と残っていた弾や切れ味抜群の刃物類など使えそうな武器を手に手に持ち、意気揚々と襲撃した核シェルターを後にした。
犬 別名・ハイエナ
戦前の犬、猫、熊、狐、その他などが放射能により突然変異し生き残った奴らの子孫。
猿 別名・毛無し猿・グール
戦争後、都市部の地下街や地下鉄構内に避難して待っていれば自衛隊かアメリカ軍が助けにくると考え、地上に残っていた缶詰(被爆ズミ)などを食べ助けを待ち続けて被爆した者たちの生き残りの子孫。
知能は著しく低下している。
主人公の曽祖父のように人を襲ってでも生き残ろうと足掻いた者たちの子孫からは、人と思われていない。
戦前の日本猿の生き残りの子孫は犬にカウントされているが、偶に毛無し猿の群れに混じって行動を共にしている個体もいる。
鳥
空を飛べる生き物の総称。
飛べない生き物は犬にカウントされている。