第七話 二大決戦兵器
☆☆☆聖王国女神圏公会議本部
「大変でございます。法王様、神託がございました。女神様はお怒りです!我が子への非道、許しておけない。これからは、クズしか寄越さぬとの仰せでございます。お前らなど、滅んでしまえって・・グスン、グスン」
最高位の聖女、微笑みの聖女とうたわれる。いつも笑顔を絶やさないことで有名だった彼女が、青ざめた顔だ。恐怖で引きつっている。
「大丈夫か?」
ドタン!
倒れた!?
「何と、至急、救護室にお運びしろ」
「「「御意!」」」
ワシが法王に即位してから、不吉なことばかり起きる。
・・・・
「女神信仰圏最高指導者、法王猊下にご挨拶します。視察団が団長ロイド、帰って参りました」
「おお、挨拶は良い。至急、報告をいたせ!」
「勇者は当代一人だ。なのに、アキ殿は虐待されていた・・・馬鹿な。勇者はこのワシよりも大切に扱われなければならないのだぞ!」
「・・・確認しました。粗末な納屋で、教育も受けずに、婚約者もクズでございました」
「勇者殿は、緑の騎士の鉄の馬に乗り。森の中に逃げました。現在は、魔族領ですごしています」
「何と、緑の騎士、緑の魔人か・・・」
「魔人?いえ、普通の兵士でしたわ」
「秘伝を話そう・・・そもそも勇者の魔王討伐は、戦争ではない。死合いだ。お互いの鬱憤を晴らすための儀礼でもある。何故なら、戦争を続ければ、お互いにエスカレートして、族滅するだろう・・」
「恐れながら、この大陸に10億人の人族および友好種族がおります。魔族は、多く見積もっても、数千万人ですわ」
「ロザリザ嬢、魔族には最終決戦兵器、邪神が降臨されておるのだ。だから、古式に則り魔王の討伐までが、紳士条約だ・・・」
「まあ・・邪神」
「魔族に絶滅の危機が来たら、魔界から死霊を呼び寄せ。生きている生物を『動く死体』にする。伝染病のように、広がり。やがて、この大陸には生きている生物はいなくなる・・・それを防ぐのが、緑の魔人であるのだ・・あるはずなのだぞ」
「では、勇者ケンジ殿と聖女サユリ殿が、禁教民主主義を広めようとしたと言うのは、やはり・・・」
「嘘であろうな。勇者討伐という禁忌を行ったから、アキ殿に、そのスキルが授かったのだろう。唯一にして、これだけで全てを賄えるスキルじゃ。
ロイド卿を勇者親衛隊の騎士団長に任ずる!ロザリザ嬢は、副官だ。一万の騎士団を編成するぞ」
「「御意!」」
「引き続き。ゲロドス王国を監視じゃ。ロザリザ嬢は、魔族領に定期的に通え。何なら、お迎えしても良い。しかし、決して、無理をするな」
「大丈夫ですわ。この職に任じてから、我身など」
「違う、勇者殿を無理矢理に連れてくるなと言うことだ。勇者殿の良き相談相手、友になるのだぞ」
「それは、重々承知ですわ!」
☆☆☆魔族領
私、ロザリザは、必要最小限の伴を連れ。ネフレ湖を訪問した。
それにしても、邪神とは、誰か気になる。
ネフレ夫人?
「アキ殿、我の背中に乗れ。ネフレ湖一周旅行を満喫するが良いぞ!」
「はい、喜んで」
「良いじゃろう?良いじゃろう?飛龍や地竜の背中に乗ったらダメじゃ」
「もう、分かったわ」
あのアクアドラゴンが邪神??話している。かなり、神に使いドラゴンのようだけど、
スー
「何か、探っておるのか?」
(ヒィ、いつの間に背後に)
「魔王殿・・・」
「私は気弱な令嬢ですわ。そんなこと企みませんわ」
「フン、邪神はあそこじゃ。知らぬうちに魔王城に住み着いているのじゃ。種族も不明ぞ」
「アキ殿~~~、背中かいてくれんかのう。骨にコケがついたのじゃ」
「まあ、お爺ちゃん。ヒャ、ごめんなさい。骸骨参謀さん」
「ええって、アキちゃんは、もう、孫じゃ。お人形さんを買ってあげようかのう」
「・・フフフ、そんな年ではありませんわ」
奇しくも、二大決戦兵器の邂逅を目撃するロザリザであった。
・・・いいわね。この平和が長く続けばいいわ。
だが、暗雲が立ちこめる。
☆☆☆ゲロドス王国
シュ~~~ン、ボア~~~~
「召喚成功です!」
「勇者は無理でも、勇者パーティなら」
フフフフ、勇者パーティを作る。
魔石も10分の1ですんだぞ。
これで、勇者を迎え。魔族討伐が出来る。勇者養育分担金をもらえるぞ。
しかし、何とも、
「キャー、ウケル~~、キャバのあーしが、聖女?!」
「ギャハハハ、高校中退の俺が賢者だと!」
「あれ、店は?この建物がクラブ?ホストの俺がポーター?聖女ちゃん!寂しくない」
勇者ケンジよりも、好戦的ではないか。期待出来る。
騎士団をつけて、勇者を迎えに行かせよう。
「王様~~~~だ。キャハハハハ」
「陛下、訓練を・・・施しましょう」
「いいや、アキを迎えに行かせる。それから、訓練を施せばいいだろう。見ろ。あの頼もしい顔を・・」
「いいか。アキという娘を連れて来い。無理矢理にでも連れてくるのだ」
「分かったぜ。爺さん。褒美を用意しとけ」
「ウケル~~~~」
「ねえ。どんな娘?18歳以上?この国では飲酒は何歳からOKの助?」
やがて、戦局が動き出す。
最後までお読み頂き有難うございました。