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第四話 勇者対軍隊

 ☆今から15年前


 女神信仰圏、全住民の期待を背負った

 勇者パーティが魔王討伐を成し遂げました。



 勇者ケンジ様、聖女サユリ様、魔道師ローズ様、剣聖ロドリゲス様と・・私、ポーターのハンスがおりました。


 ☆魔王城


 倒れた魔王に、娘が泣きつきます。


『ウワワワワワワ~~~ン、父上の仇!』


 魔王の娘が、自分よりも背丈のある剣を引きずり勇者に斬りかかろうとしたが、

 それを魔王軍の骸骨参謀が止めます。


『ならんのじゃ!お嬢様、古式に則り、魔王陛下は、勇者パーティと戦ったのじゃ。・・・そして、敗れたのじゃ』

『ウッワアアアアアアーーーーーン』


 頭に、水牛のような三日月の角をもった魔王の娘、マリーンズは、勇者ケンジに宣言します。


『ワシが大きくなったら、お前を倒す!』


 勇者ケンジ様は、快諾しました。


『・・・待っている。それまで、強く、傲慢で、優しい魔王になってくれ』

『ええ、そうね。矛盾したもの言いになるけど、魔王殿は、怖れられ尊敬される不思議な存在だったわ』


『何故!優しくするのじゃーーーー』


 ・・・その後、ゲロドス王国に帰った勇者殿は、陛下、いえ。ゲロドス王は、


『何故?魔王の死体を持って来なかった!あれは、魔力の素材になるのだ!』


 と怒りましたが、ケンジ様は王に逆らいます。


『魔王は亡くなり。魔王軍は解体しました。これ以上の辱めは不要です』


 王は邪な考えを持ちます。


 ・・・代わりに、勇者を魔力の動力源に出来るのでは?しかし、中々、勇者召喚とは滅多に出来ないものだ。


 ☆数年後


『何?サユリ殿が妊娠したと、そうか。赤子が生まれたら、討伐だ。いくら、勇者でも軍隊は相手に出来まい』


 アキ様が生まれた後、


 魔物討伐の依頼を、勇者ケンジ様は受けます。


『名前は秋にした。秋は、季候が優しく人々に恵をもたらす。そのような子になって欲しい。どうだろうか?』

『フフフフフ、良い名前だわ。この子に、日本のことをいっぱい教えてあげるの』

『では、行ってくる。王都郊外に、一角グリスリーの大群が出たとのことだ・・』


『ハンスさんは良いよ。王都の近くだし。今日、お孫さん生まれたんでしょう?会ってきなよ。秋と友達になればいいな』

『申訳ありません。討伐が終わったら、すぐに顔合わせしましょう』

『まあ、ダメよ。娘様、体調が落ち着いてからよ』

『面目ない』


 王都郊外には、魔物はいませんでした。


 大軍が勇者パーティに襲い掛かり。

 全滅をしたと伝えられます。


『はあ、はあ、はあ、陛下、精鋭3000人を失いました・・・しかし、本当に勇者殿は王政打倒を訴えていたのですか?』


『騎士団長よ。そうじゃ。危険じゃった。勇者殿の首は?ほお、魔道師に渡し、魔力装置の原動力にするのだ。それに、聖女と子供はいる。女神信仰圏から、養育分担金をもらえるぞ』


 ・・・・・


「それじゃ、お母様は、生きているの?」


「・・・・・・お亡くなりになられたと伝えられています。次なる勇者の子を産むように強要され、自殺したとも、抵抗し、殺されたとの情報です」


「ウ、ウワワワワワワ~~~ン」


 ・・・私は泣いた。お父様とお母様はいらっしゃらない。この国の王に殺された。


「こちらが、ベッキーでございます。勇者様と同じ日に生まれた今年13歳でございます」


「は、初めまして、勇者様、ベッキーです。何でも申しつけ下さい!」


「じゃあ、しばらく、泣かせて・・下さい」

「はい・・」


 私は泣いた。この後、何をすればいいのか。したいのか。分らない。分っているのは、私は何も知らないと言うことだ。

 自分の事も、世界の事も・・




最後までお読み頂き有難うございました。

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