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不思議な国の本。
「要するに…。衰弱している肉体を繭で包み込んで保護をするのですよ。誰にも傷つけられない様に…。何者にも弱さを悟らせない様に…。」
バケットハットの男の人は云いました。
それから人差し指で、アリスの後方の兎と猫を指します。
「では何故…。貴女のお友達である其方の方々はぬいぐるみの様な繭を纏っているのですか?…。何から何を護る為に、その様な姿をしているのでしょうか?貴女には解っているのではないですか?だからこそ貴女は無意識に、お友達をその様に見ているのではないですか?」
続けて言葉を発すると…。
バケットハットの男の人は…。
再び指を鳴らします。
パチン。
その時です。
アリスの記憶が鮮明に浮かび上がり…。
本を読むかの様に記憶は頁を捲っていったのでした。
それは心の奥に仕舞い込んだ記憶の物語です。