不思議な国の扉。
あるところにアリスと云う名の女の子がいました。
アリスには友達が2人います。
甘えん坊で寂しがり屋のカレン。
いつも元気なクレア。
いつも3人は一緒にいるのでした。
ある寒い冬の日の事です。3人は公園で遊んでいました。
アリスは水色のパーカー。カレンはピンクと紫色のセーター。
そして、クレアは真っ白なダウンジャケットを着ています。
真冬の公園では、それでも吐く息は白く、蝶の様に羽ばたいて見えました。
公園の中央には大きな大きな時計塔があります。
カチカチと音を奏でながら時間を教えてくれるのです。
その時計塔は機械仕掛けの時計で、その内側を隅々まで見透せる構造となっています。その内側には複雑な歯車が幾つも重なっていました。
時を示す。
その為だけに、あの様な複雑な仕組みになっているのでした。
そう。部品が1つでも欠けてしまうと…。
正確な時間は分かりません。
仲良く中央にある時計塔の側で遊んでいた時の事です。
突然、アリスは不思議な感覚に襲われました。
アリスの視界は歪み、目眩がしたのでした。
時計塔は正確な時間を刻みます。
カチカチカチ。
カチカチカチ。
けれど、気付くと…。
その正確に時を刻む筈の音の感覚は。
次第に遅くなっていきました。
カチカチカチ。
カチカチカチ。
カチッ。
音は消えて。
時計塔の針は動きを止めてしまいました。