表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/153

番外編「食堂主の悩み事」




 やぁ、みんなのヒーロー。ケニー・ジャックだぜ。

 みんなの赤い声援、いつも胸に届いているぜ!

 前回の俺の戦い、見てくれたか?

 ゴブリンの群れから村を救ってから随分たったな!!

 あの頃は懐かしいぜ!


 がっはは!!


 ………。

 冗談はさておきだな。

 俺がサザルへ飛び立つ前日。

 俺は、モーリー食堂に報告の為向かったのだった。



――――。



「長期休暇?」

「少し急用が出来てしまい。長めのお休みなどを貰えませんかね?」


 と、頭を下げた。


 状況を説明しよう。

 現在いるのは閉店後のモーリー食堂であり。

 目の前にはモーリーとロンドンが椅子に座っている。

 そんな二人に俺は無理な話をしていた。


「別に問題はないけど、そんないきなりどこへ行くんだい?」

「サザル王国です」

「サザルぅ!?」


 二人の驚いた声が食堂に響く。

 そりゃそうだよな。突然すぎるもん。

 サザル王国の距離とか考えたら、そりゃ驚くだろうな。


「……まぁ理由があるんだろう。別にうちの食堂の事は気にしなくて大丈夫さね」

「ありがとございます」


 許可は取れた。

 これで心置きなくグラネイシャを発てるな。


「――――」


 だがなんというか。

 流石に申し訳ないな。忙しいだろうに。


 モーリーは今、北の街の、魔物に壊された家とかの復興の手伝いをしている。


 その為、現在食堂は出張しており。

 中央広場で屋台として営業しているのが今の食堂だ。


 建物の中から外に変わっただけだが、それでも負担は外の方が多いだろう。

 家などが壊されお金もまともに持っていない人達の為に。

 殆ど無償でモーリーは食事を振舞っている。


「――――」


 優しい人だ。

 そんな大変な時期なのに、俺はこれで良いのだろうか。

 勿論、迷いはあった。

 でもやはり、このチャンスは逃すと後悔する気がする。


「少しの間、店を閉めるかね」

「え?」


 モーリーから聞かないような、

 少しがっかりしたようなそんな呟きだった。


 いつも明るいモーリーが、そう言ったのだ。

 その言葉を聞いて、俺はやはり胸が締め付けられた。

 やるせない気持ちだ。


 と言っても俺だって理由がある。

 もし今行かなかったら、俺は本当に来年死んでしまうかもしれないんだ。

 苦渋の決断だが。そうするしかない。


「まぁ、ネェちゃんは一旦休んでもいいと思うぜ」


 すると、暗い顔をしているモーリーの横で、

 少しへそを曲げたような表情でロンドンは言った。


「休めないさ。ただ、休憩をして、また店を開ける」


 まあ。モーリーならそうするな。


「俺だってずっとこの店に入れるわけじゃぁねぇ。

 来週からは別の仕事に呼ばれてんだ」

「呼ばれている?」

「あぁ、ケニーの旦那には話してなかったがぁ。

 元騎士なのに王様から直々に仕事を依頼されるらしい」


 王様から直々に?


 ……死神関連なのだろうか?

 そういえば死神候補の貴族は数が多かったから。

 死神の事情を知っている人間で、一番良かったのがロンドンなのだろうか?

 それとも、一度魔物と渡り合えているから?

 いや、それなら別に近衛騎士団なら渡り合っているだろうし。


 つうか、別に死神とは関係ない話かもしれないしな。

 直近の事に引っ張られ過ぎた。


「――――」


 俺がサザルへ行っている間。

 死神関連のミッションが始まるらしい。


 俺に誘いは来なかったが、身近の人物で言うとゾニーだ。

 ゾニーは俺がサザルへ行っている間、イーソン・ベイカーと言う少女の護衛があるらしい。

 ベイカー家。エマが嫁いだ先だ。

 あんまり知らなかったが、ベイカー家には分家が多いらしい。

 ゾニーと一緒にナタリーやエミリーも参加と聞かされた。


 やはり、王様は襲撃時、魔物と戦った奴らを選んでいるのだろうか?

 だとしたら、やはりロンドンもそれ関連だと考えても……。


「怪我だけはするなよ」

「俺が、怪我程度でぇ死ぬとでも?」


 ……ま、死ななそうだよな。

 片腕無くなっても襲い掛かってきそうな獰猛な性格だ。

 だが、心配なのはモーリーか。


「一旦、このお仕事から手を引いた方がいいんじゃないのか?」

「それは……そうかもしれないさ。でも、嫌だ」


 頑なにモーリーは引こうとしなかった。


「なぜ?」

「ここしかないんだよ。私が働ける場所は。

 それに、いまやらなきゃ。子供たちは……」

「…………」


 あぁ、そうだよな。

 家が無くなった人もいる。

 食堂を必要としている子供もいるのは俺も重々承知だ。

 だが、あんたが倒れちまったら。


「モーリーが倒れちゃったら。元も子もないと思うぞ」

「………」


 黙ってしまったか。

 胸が苦しいな。

 でも仕方がない。

 これしかないんだ。

 今はこうゆう状況だけど。

 きっと良くなる。


「少し考えさせて」


 モーリーはそう言い放った。

 まぁだが、俺は明日にはもう旅立つので。

 モーリーの答えは、聞けなかった。





 と、話しは以上だ。

 最近あまり食堂の事を書けてなかったから。

 残しておこうと思う。



━━━━━━━━━━━━━━━━

 9月〇日

 第五十一回目

 執筆者、ケニー・ジャック


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ