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死神と魔神に愛された重力使い  作者: 86
第一章
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第4話 パーティー

 俺が家を出てから早くも7年が経過した。


 この7年間はあっという間で、地獄のような日々を過ごした。


 レイナ様──いや、お嬢様の従者となる者は優秀でなくてはならない。と言われ、ありとあらゆる物を教えられた。


 流石は公爵家といったところだろう。優秀な人材ばかり揃っており、いろんな分野を一流レベルぐらいには網羅することができた。


 12歳になるくらいには、同年代だけでなく大体の人には負けないくらいの知識と技量を取り込み、周り敵無し状態の従者になっていた。


 まず、執事長のグラント・アルカさんと若いメイド長のメアリー・クライアントさんからは、掃除洗濯、主人の身の回りのお世話など、家事に関することを全て叩き込まれた。


 次に、料理長のルシア・ニーズさんからは、一通りの高級料理と一般料理を作れるよう教え込まれた。


 そして、この公爵家の現当主である旦那様──ラクト・バードン様とよく取引をしている大商人のドルトンさんと家庭教師のエリナ・フレンシアさんから経済学、商業学、政治、この世の歴史、神話などなど、絶対に子供が学ぶようなものではないのまで無理やり頭にねじ込められた。


 なによりも辛かったのが剣の修行である。


 俺の師匠として連れてこられた人物は、剣術(究極)の持ち主で、『剣帝(けんてい)』マルクと言い、この世界で最強とも名高い人物である。


 そんな師匠に教えられたせいか、俺は剣術(極)のスキルを手に入れ、国王から『月影(げつえい)』という二つ名を与えられた。この二つ名は俺が極限まで影を薄くして、相手の隙をつき一瞬で首をとることからつけられた。剣術を中心に鍛えていたが、だからといって重力魔法の鍛錬をおろそかになどしていない。こっそりと誰にもバレないように重力魔法の練習もしてきた。


 なんで、元々鑑定以外のスキルを持っていなかった俺がいきなり極という常人では到達することのできないランクのスキルを手に入れたかって?


 それは、できればあまり触れたくない記憶に触れることになる。


 簡単に言うと、師匠の地獄の修行を乗り越えたからだ。これで察してくれ。


 スキルこそ持っていなかったものの、師匠曰く、筋は良かったらしく、どんどん技を叩き込まれ、体を鍛えてるうちにいつの間にか剣術(極)のスキルを習得していたのである。


 おそらく俺と師匠が本気を出せば世界の半分を消し去ることができるのではないだろうか?


 まぁ、そんなことする気は微塵もないんだが。


「お嬢様、もう朝でございます。そろそろ朝食のお時間ですよ」


 お嬢様のいらっしゃる部屋のドアをコンコンと叩きながら言う。


 俺の1日はお嬢様を起こすことから始まる。


 幸いお嬢様は朝に弱いというわけではなく、すぐに起きてくださるからこの日課も別に苦ではない。


「もう着替えは終わっているから、今行くわね」


「了解しました」


 このお方は貴族にしては珍しく、自分でお着替えすることができるのだ。


 屋敷に仕えている貴族の人が自分のことを全部やれるのは当たり前だが、公爵家であるお嬢様がどこかの家の屋敷に仕えることなんてまずありえない。だから、わざわざそのやり方なんて教えてもらえないし、自分で着替えるには独学するしかない。


 最初の方は俺も着替えを手伝っていたが、いつころからだっただろうか?お嬢様は俺に肌を見せるのを恥ずかしがるようになり、着替えを手伝おうとすると赤面しながら追い返されてしまうことがよくあった。


「カイン、行きましょ」


 突然目の前から声をかけられ、そっちに目を向けると美しい服装を身に纏ったお嬢様が立っていた。


 こうしてよく見ると昔の面影が残っているが色々なところが成長して雰囲気も大人っぽくなったと思う。改めて美少女だと言うことを再認識させられる瞬間である。


「はい、お供します」


 お嬢様に軽く返事をしてから、お嬢様の右後方の位置をゆっくりと歩いていく。従者は決して主の前に出ては行けない。そして、主の歩くスピードに合わせなければ従者失格だ、と数年前にグラントさんに言われたことを思い出した。あの人ももう歳だが、それを感じさせないほどに元気が有り余っている。


 無言で歩いていたら、お嬢様は大きなドアの前で立ち止まり、それを押して開いた。


 すると、そこには白い布がかかった長机といくつかの椅子が並んで置いてあった。長机の一番奥にある椅子に旦那様と奥様──リリア・バードン様が行儀良く着席しており、後ろにはお二方の従者の方々が、さらに後ろには執事とメイドが合わせて10人近く控えていた。


 俺は奥様の隣にある椅子を引き、お嬢様に座るよう促す。お嬢様が着席するのを確認し、一歩下がって他の者同様に待機の姿勢をとる。


「……ねえ、カインは座らないの?」


「私は従者の身ですので、主と同じ席につくなど、そんな不敬なことはできません」


「むぅ……」


 これはいつものことで、俺が断るたびにお嬢様は不満そうな顔をする。


 この後の展開も大体は予想がつく。


「なあ、カイン。君は従者だけど、家族のようなものさ。どうかな?一緒に食事をしないかい?」


「そうよ。カイン君は私たちの息子のようなものだし、あなたが席について文句を言う人たちはこの屋敷にはいないわ」


 そう、この2人による援護射撃だ。毎度毎度断っているのによく飽きずに俺を誘えるものだ。この方々と同席することはありえないというのに。


「……申し訳ございません。私は従者の身ですので」


 今日もまた絶対に席に座らないという意思を示したところで、この家のシェフたちが料理を運んできた。一流シェフが作る料理は毎日コースメニューとなっており、いくつもの美味しそうな料理が次から次へと運ばれる。


 全ての皿が空になったところで今日の予定をお嬢様にお伝えする。


「お嬢様、今日は昼過ぎから王立第一学園入学前の貴族だけで行われるパーティーがございます」


「そう、分かったわ。ドレスを用意しておいてね」


「承知いたしました」


 お嬢様に一礼すると、その場を離れる。


 別にドレスの調達に行くわけではない。ドレスはサイズも変わってないだろうし、今あるヤツから買い換える必要などどこにもない。


 じゃあどこに行くのかって?


 それは朝食を食べるために町に行くのだ。この屋敷では基本現当主様と奥様、そしてお嬢様以外の分の食事は用意されないので各々勝手に済ませてこい、というわけだ。


 なので、俺は1日3回、朝昼晩は屋敷から抜け出して町にある定食屋でご飯を済ましている。これが中々に美味で俺のお気に入りの店だ。 


(今度お嬢様と一緒に訪れたいな)


 そんな事を考えるが、こんな庶民の店をお嬢様に紹介するわけにはいかない、とすぐに頭を振るのだった。


☆☆☆


 王立第一学園。

 それは王都にある5つの学園のうちの1つである。他の学園の名前も似たようなもので第二学園から第五学園となっている。第二学園から第五学園に大きな違いはないが、第一学園だけ少しだけ他と違う箇所がある。それは第一学園に通う生徒は王族公爵侯爵など位の高い者たちと、伯爵以下(平民含む)の優秀な者のみ入ることができるのである。それ故に伯爵以下の入学試験は難しいと聞いたことがある。公爵家のレイナ様にそのようなものはなく、従者である俺も入学試験をパスすることができた。


 主に学園に入学して学ぶことは、スキル、世界の歴史、この国の地理、神話、武術、計算などで、俺はすでにマスターしていることばかりだ。といっても、俺が例外なだけで普通の子供はこれらを知らない子の方が多い。レイナ様もそれは同様で、学園に勉強するために通うのである。俺はただの付き添いだ。レイナ様の学園での身の回りのお世話からできれば勉強も見てやってほしいと旦那様から頼まれている。


 外を見てみると、いつのまにか景色が緑色の草原から建物がたくさん並んだ王都の街並みへと変わっていた。


 時間で言えば50分くらいだっただろうか。それなりに長い間馬車に揺られていて少し疲れた。バードン公爵領は王都の隣に位置しているからまだいいが、他の貴族は王都に来るまでに何日もかけたりするらしい。その間ずっと馬車に乗っているのは流石にキツすぎる。50分で疲れる俺が何日も馬車に乗るとか冗談じゃない。


 学園に入学したら学生寮に入ることになっているので、しばらくの間馬車に乗らなくて済むと思うとなんだか気が楽になった。


 ちなみに、明日が入学式なので今日は王都にある屋敷に泊まるつもりだ。


 旦那様たちは明日の入学式には来るらしい。今日のパーティーから参加すればいいのに、とは思うが仕事に追われているようで、お嬢様のドレス姿を見れないのを嘆いていた。


 公爵家の長女であるお嬢様はなにかとパーティーに参加する機会がよくあり、今回ドレス姿を見れなかったからって次の機会に見ればいいと思ったが、毎回お嬢様のドレス姿を見たいらしく、一回でも見逃したくないって言っていた。


 ……俺には親バカの旦那様の心理は分かんねえな。


 どうやら王立第一学園に到着したらしい。馬車が急に動きを止めた。


 ドアを開け、外に出るとまずすることは周囲の確認である。これは従者としては当たり前のことでそれなりの立場の方に仕えているなら暗殺者には気をつけろ、と屋敷で働いている人たちに教えてもらった。


 ぱっと見それらしき格好の人間は見当たらない。というか、ここは既に学園の敷地内だ。馬車の御者さんは学園内に馬車を止めてくれたようで王立第一学園の正門は後方にある。


 今日だけは特別に学園内まで馬車が入ってくる事を許されているようだ。周りにも貴族の家紋をつけた馬車が何台か敷地内で駐車していた。


 俺は馬車の中に視線を戻し、手を差し出す。


「どうぞ、お嬢様」


 お嬢様が俺の手をとりゆっくりと馬車を降りると横に並んだ。


「ねえ、カイン。似合ってるかしら?」


「はい、よくお似合いですよ」


「そ、そう……えへへ……カインも似合ってるわ」


 いや、俺はいつもと似たような服装なんですけど。


 お嬢様を褒めたからお礼に褒めてもらったのか?なんとも心優しいお嬢様だな。


 それにしてもこの笑顔は反則である。


 俺は何度も見てきたから耐性ができているが、初対面でされると一目惚れする可能性すらある。


 事実、周りにいるお坊ちゃんたちはお嬢様の笑顔に虜になりつつある。

 

 俺は悲しいことに恋とか愛とかいうのに疎かったし縁もなかったから最初にされた時は可愛いな、程度しか思わなかった。


 今世でも前世からの年齢=彼女いない歴は更新中だ。


 ところで、お嬢様のドレスだがこれがまたお嬢様の容姿を引き立たせてくれる。


 自身の魅力を最大限に引き出すための衣装──すなわち、パーティーで使用するための装備である。


 金髪のロングヘアはサイドテールにしており、肩にかけて前に下ろしている。


 ドレスは緑色を強調しているもので、胸元が開かれている。


 お嬢様の巨乳でも貧乳でもない形の整った美乳に目が行ってしまうのは男として自然なことだろう。

 

 お嬢様は気分がいいのか軽い足取りでパーティー会場への道を進み始める。


 置いていかれないように一定の距離を空けてからお嬢様の後を追う。


 お嬢様の従者として恥ずかしくないような振る舞いを心がけよう。


 俺はそう心の中で決めるとパーティー会場の中へと入っていくのだった。


☆☆☆


 簡単に受付を済ませ、あとはパーティーが始まるのを今か今かと待っているだけだ。


 俺は今まで客観的に自分の容姿について考えたことはなかったが、どうやら俺の容姿は自分が思っている以上に目立つらしい。


 黒髪黒目っていうのもあるが、それ以外にも普通に顔立ちが整っていて、いろんな女の子から熱い視線を頂いている。


 逆に男子からは目の敵にされてるようで、めちゃくちゃ殺気をぶつけられている。


 まぁ殺気を向けられるだけで直接的な被害はないから放っといても大丈夫だろう。


 それよりも問題なのが隣にいるお嬢様だ。


 ただただ可愛いだけなのだが、本人は怒っているつもりなのか眉間に皺を寄せて頰を少し膨らませている。俺がそれなりに女子にモテるということを知って嫉妬してくれてるのだろうか。それならば素直に嬉しいが、真意は分からない。


 お嬢様にどう声をかけようか迷っていたところで、会場の電気が全て消え、前方のステージにスポットライトが照らされた。


「皆の者、まだ入学式は行っていないが先に言っておこう。入学おめでとう」


 そこには少しイカつい表情をした40すぎぐらいの年齢のおじさんが立っていた。


 あの人はいろんな所で見かけた事がある。王立第一学園のパンフレットにも載っていた。たしか……王立第一学園学園長ライアン・グランバル、『業炎(ごうえん)』のライアンと言われている人だ。


 炎魔法のスペシャリストでこの国でも最強の部類に入る人間であるのは確かだ。剣術(極)を持っている俺でも剣だけでは勝つ事ができないだろう。重力魔法を使ったとしても結果は分からない。確実に勝てるって言えるレベルの人ではない。


 いつかは手合わせしてみたいもんだ。この学園にいればその時が来るかもしれない。そうしたら俺は出し惜しみせずに全力で戦いたい。


 それから簡単に学園長がなにやら話し終えるとすぐにパーティーが始まった。学園長の話の内容は1ミリたりとも俺の耳に入ってきてない。


 前世でも校長の長ったらしい話の時とかは、スルーしてたな。


 少し前世のことを懐かしく感じながら近くにあったチキンを皿にとる。


 ……普通に美味いな。


 俺がパーティーの食事に夢中になってるところでお嬢様に声をかけられた。


「カイン、あれをとってくれないかしら」


 お嬢様の指差した方向にはスイーツと呼ばれる類のものが大量に置かれていた。


「承知いたしました」


 お嬢様のお望みであろうケーキをいくつか皿にとる。


 それをお嬢様に渡すと綺麗な食べ方をしながら一瞬で平らげてしまった。


 満足していただけたようでなによりだ。


 しばらく2人でパーティーを楽しんでいると会場に音楽が鳴り始めた。


 ダンスの時間が来たみたいだ。ダンスとは異性との距離を縮めるためのものでもあり、恋人関係になくても相手を意識し始めるぐらいの効果はあるらしい。それゆえ、男子も女子もお目当ての人の元へ駆けつけダンスに誘うようだ。従者も例外ではなく、時たま貴族から誘われることもあるらしい。


 お嬢様はその美しさのせいかすぐに男子に囲まれてしまった。真ん中でお嬢様のどうしたらいいのかと困っている姿が見える。だが、俺が手出しするわけにはいかない。従者如きが貴族の交友関係を邪魔するわけにはいかない。


 どうせ俺なんか誘われないだろうとと思い、お嬢様から少し離れ傍観を決め込もうと思ったが、そうは問屋が卸さなかった。


 何故か俺の周りに貴族のお嬢様方が集まってきたのだ。


「もしよろしければわたくしと踊ってくださらないかしら?」


「いいえ、わたくしとよ。ねぇ、踊ってくださるでしょう?」


 俺の周りにいる女子だけで十数人はいる。まさかこんなにも大勢の貴族のお嬢様方に囲まれる日が来るとは思わなかった。少し嬉しい気持ちがあるが、今は踊りたい気分でもないし悪いけど断るか。


「申し訳ないですが、私は貴方方と踊るつもりはございません。他を当たってくださいますか?」


 ふぅ、これで俺の周りは静かに……ならなかった。やんわりと断ったはずだが、女の子たちは諦めきれないようで俺を中心に雑談をし始める。


 傍から見れば羨ましい光景かもしれないが、こっちからするとただ迷惑でしかない。俺はどうしようか悩んでいると肩を叩かれた。


 今度はなんだ、と思い振り返るとそこにはさっきまでお坊ちゃんたちに囲まれていたお嬢様が姿を現した。


 なんのために俺のところへ来たのか尋ねようとする前にお嬢様が手を差し伸べてきた。


「私と踊ってくださいませんか?」


 どうやら俺を助けてくれるらしい。困り顔でも見られたのだろう。主に助け舟を出されたとあっては断るわけにもいかない。


「……はい喜んで」


 俺が手をとり立ち上がると周りにいた女の子たちが黙っているわけがあるまい。


「ちょっと、貴方どういうつもり?いきなりしゃしゃり出てきて」


「そうよ、彼はわたくしたちとお話ししていたの。勝手に横取りしないでくれるかしら」


 お嬢様はこういうのには慣れていないのだろう。ちょっと困った顔しているのがまた可愛らしい。


「やめなって、そのお方がどなたかご存知ないの?」


「そうですわ、そのお方は公爵家が1つバードン公爵家の長女レイナ・バードン様ですわ」


 お嬢様のことを知っている人がいてよかった。何事もなくこの問題は終わりそうだ。


「も、申し訳ございませんでしたわ!公爵家の方とは知らずに無礼を……」


「わ、わたくしたちはこれで失礼いたしますわね!」


 最初にお嬢様に突っかかっていた人たちも慌てたようにその場を離れていった。公爵家令嬢という肩書きがあるだけである程度貴族が言うことを聞いてくれるのは便利だ。貴族は位とか階級とかを意識するからな。


「お嬢様、どうします?私と踊りますか?」


 俺を助ける口実だとしても一応誘っていただいたわけだし、お嬢様にどうするのか問いかける。


「も、勿論よ。踊らないって選択肢があるわけないでしょ。エスコートしてくれるわよね?」


「勿論です、お嬢様。精いっぱいお嬢様の相手を努めさせていただきますね」


「うふふ……期待してるわ」


 そう言って差し出された手をとると、ダンスを踊っているスペースへと移動する。


 俺のダンスの実力を発揮する時がようやく来たな。昔から一流の従者になるためにダンスの稽古もつけられた。だから、完璧なダンスを踊る事が可能だ。


 せめてお嬢様に恥をかかせないようにフォローしておこう。


 そう考えながらお嬢様と共にダンスを踊り始めたのだった。


☆☆☆


 宴もたけなわになってきたところで、そろそろ終了の時刻のようだ。料理が次々に片付けられていく。


 ちらほらと帰り始めた貴族の姿も見える。どうやらいつ帰ってもいい仕組みだったらしい。


 俺は少し眠たそうにしているお嬢様に無礼ではあるが、お姫様抱っこをしてから会場を出る。


「ん…………カイン?」


「もう少しで屋敷に着きますからね」


 半分意識がなさそうなお嬢様に微笑みかけながら、暗くなった道を走り続ける。


 昼間はあんなに活気があった街でも夜になるとどこか不気味な感じが漂っている。


 星がない暗闇の中に浮かぶ月がさらに不気味さを醸し出しているのだろう。


 その不気味な月に少し嫌な予感を覚えながら、気にしてもしょうがないと割り切って屋敷を目指すのだった。


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