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アストリンジェンのマリア。

あたらしいおはなしのはじまりです。

よろしくおねがいします。

 はっと意識が戻った時、わたしの目の前には見知らぬ家屋の天井が見えた。


 身体が熱い。


 意識が混濁したまま「おみず……」と口にしたわたしの舌先に当てられた水差しから、お水がゆっくりと垂れて。


「ゆっくりと飲むのよ」


 そんな優しい声が聞こえる。


 聖母様? そんな雰囲気の女性のお顔。


 わたしの額に乗って熱を持っていたタオルを冷たいものに取り替えて、「大丈夫だから。もう少し寝ましょうね」とそう頭を撫でてくれる。


 今はまだ夜なのか、ゆらゆらと揺れるランプの灯りを横目に、わたしはもう一度目を閉じた。


 安心? したのかな? 心少し軽くなった気がして、そのまま再び眠りについた。


 混沌としたままの意識の底に落ちるように……。




 ☆☆☆☆




 熱に浮かされている間に夢に見たのはたぶんわたしの前世。


 令和の日本。21世紀初頭の地球。


 三十路のOLだったわたし久能貴子は彼氏いない歴年齢を更新中に流行病でぽっくりいっちゃったっぽい。


 最後救急車で運ばれるところまでしか記憶が無いけどそれでもね。


 そんなわたしがこんな異世界に転生して公爵令嬢に生まれ変わるとは思ってもいなかった。


 っていっても今までこんな前世を思い出しもせず普通にちゃんと御令嬢してたんだけどね?


 ちゃーんと、ドレス着て、「わたくし」って言って、末は王妃様になるのを夢見てたの。


 今のわたくしは公爵令嬢クローディア・フーデンベルク。


 フーデンベルク公爵家の長女として蝶よ花よとかしずかれ末は王妃になるのだと王子マクシミリアンと結ばれるのを夢見ていましたのに……。


 でも、先日の厄災の嵐の後、自室の手前の階段で転んだ時に思い出しちゃったんです! この前世の自分と、そしてこの世界がわたしが前世で遊んでたゲーム、『マリアクエスト』っていう乙女RPGとそっくりだってことに!


 おまけに、よりによってそのゲームの中での悪役令嬢、クローディアに自分が転生しちゃってたなんて、思わないじゃない? 普通。


 あまりの情けなさと記憶の混濁とが重なって自分の中の魔力が暴走してしまったわたし。気がついたらぼろぼろの衣装を纏った状態でこの修道院の前で倒れていたらしい。


「じゃぁ、何も覚えていないんだね?」


「はい。すみません……」


「君が身につけていたものと言ったら焼け焦げてぼろぼろになった衣装だけ。他に身元が分かるものは一切持っていなかった。せめて何か手掛かりになるようなことでも覚えていたらと期待していたのだけど」


「ごめんなさい先生。わたし……」


「もう、ガストン先生、あまりその子をいじめないであげてくださいな。記憶を失っただなんて不安でしょうがないでしょうに、これ以上追い詰めてどうするっていうんですか!」


「ああ、マリーベル。すまないねお嬢さん。まあここでゆっくりと養生すれば記憶も戻るかもしれないから」


 わたしの治療をしてくださったお医者様、ガストン先生。


 まだお若いのになんだか身のこなしがおじいさんみたい。


 よっこらしょっと立ち上がると、「薬も三日分だしておくから。熱が出たら飲みなさい」そう言って部屋を出て行った。


 扉まで先生を見送ったマリーベル。こちらを振り返って、


「ああでも記憶が無いってことはあなたのお名前もわからないってことよね。それはちょっと不便よねえ」


 そうちょっと首を傾げて。


「あ、そうだ、あなたは今から『マリア』よ。この街、アストリンジェンのマリア。そう名乗ると良いわ」


 そう手をパンと叩いて微笑んだ。

興味深いなって思ってくださったらブクマ、評価⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を押してくださると泣いて喜びます♬

執筆の励みになりますのでよろしくおねがいします(はあと


今日は後二回更新する予定です。

よろしくおねがいしますー♬

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新連載はじめました♪
『あたしのお母様は異世界転移ヒロインでした。』 もよろしくおねがいします♬
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