原点
*この物語はフィクションです。
2010年.10月2日.03時39分.とある路地裏
ゴスッ!ドスッ!
普段は静かなこの場所に物々しい音が聞こえていた。
「お前なんて死んじまえ!」
「殺す…!」
2人の男が人を殴りつけている。
「やめ…ろ…」
その背後で顔をぐしゃぐしゃにしながら枯れた声で必死に叫ぶ男。
「やめ…てくれ…!」
そう言葉を発すると、男の意識が途絶えた。
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2010年.9月24日.15時02分.大阪
商店街のど真ん中を歩く男4人組がいた。
「今日は一段と暇じゃのぉ、テキトーにラーメンでも食いに行くかぁ?潰苔ぇ」
ズボンのポケットに手を突っ込んだ男が、退屈そうに話していた。
「兄貴についていきます!」
そう言ったのは、今作の主人公である潰苔正良。
「潰苔はいっつもそれだな」
髭だらけの大男が潰苔の肩を叩きそう言った。
「んじゃ、いつものラーメン屋台に決定じゃぁ」
ポケットに手を突っ込んだ男、名を狂酒が走り去っていった。
「お前らも来い、場所はいつものとこだ」
髭だらけの国島が狂酒を追っていく。
「よし、俺たちも行くぞ!」
「おう!」
潰苔は4人目の男で、親友の梅塚に声をかけた。
潰苔と梅塚は、狂酒を追って走り出すのだった。
なんて事ない普段の4人組。
実はこの4人、ヤクザである。
とは言っても、比較的温厚、それに少人数という事もあってか、殴る蹴るなどはした事が無い。
これからもずっとそうなんだろう。
この時潰苔は、そう思っていた。