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追手

 湊は、キスされてから胸にモヤモヤしたものを抱えていた。何か引っかかるものがあるようだ。


「おはようございます」


「おはようございます」


朝日は何事もなかったように、湊に振る舞う。湊も何事もなかったように振る舞っていた。そう振る舞って、2週間が経った。


今日は、取引先へ朝日と湊二人で行く日だった。


朝日には、専用の運転手がいるので、その車に乗った。橋元さんという。湊は助手席に、朝日は後部座席に座った。10分くらいして、湊はドアミラーを見て気付いた。後ろの車につけられていると。湊の勘は100発100中。湊はすぐさま、朝日に伝える。


「後ろの車につけられてますね」


「おやおや。僕のことをつけるなんて。悪趣味ですね」


「橋元さん、任してもいいですか?」


「任してください。お二人ともちょいと、どこかに捕まっていてくださいね」


そう言った瞬間、凄いスピードを出してきた。前の車たちを抜かし、対向車線を走り、素晴らしい運転技術を見せつけられた。


しかし、後ろの車も負けてはいられない。追いついてくる。


「くはー。後ろの奴らもかなりですね。俺、あいつらをまくんで、30秒後に一瞬止まるんで二人は、逃げてください。朝日社長、E路地に止まるんで、例の経路に行ってください」


「承知した」


湊には例の経路が何のことなのか、さっぱり分からなかった。


「5、4、3、2、1、はい!」


車が止まった瞬間、朝日と湊は降りた。すぐさま車は、発進した。朝日は例の経路へと向かう。


「すまないね、怖い思いさせて」


と言いながら、路地の壁を押す。すると、壁が動いた。壁の中に道があった。その道の中に二人は入っていった。入った後は、しっかりと壁を元に戻した。


「この経路に入れば絶対に見つからない。今日の取引は終わりだ。このまま、歩いて行けば、僕の会社の地下室に出る」


「こ、これは、なんなんですか?」


「実は、一年前から僕のことを襲う奴らが出てきたんだ。理由は分からない。そこで、緊急用として、秘密の経路を作った訳だ。他にもこの街に張り巡らされている。あ、ここからは、これに乗るだけで移動できるよ」


下を見ると、一人が乗れるくらいの丸いボードが置いてあった。


「二人分用意しておけば良かったんだけど、いまは一人分しかないから、これで我慢してね」


そう言うと、朝日は、湊を持ち上げ、そのボードに乗せた。


「スピード出るから僕に捕まっていたほうがいいよ」


たしかに、スピードがかなり出ていた。湊は、朝日にピッタリとくっつくしかなかった。湊の鼓動が早くなっていた。湊は少し顔を赤らめた。湊は、初めて乗る乗り物に恐怖心を抱いていたというのもあって、朝日にしがみついていた。朝日は、湊の体を支える。


 二人は無事に会社の地下室にたどり着いた。


「すみません。掴まってしまって」


「全然いいよ。それより、怖い思いさせてごめんな」


「大丈夫です。無事に逃げ切れて良かったですね」


「ほんとだよ。さっき、橋元から連絡があった。無事に逃げ切れましたって」


「それは良かった。というか、こんなところに、地下室があったんですね。知らなかったです」


「ここは、秘密の場所だからね。あまり知っている人はいない。内緒だよ」


「もちろんです」


「地下室、少し案内しようか」


「是非」


 朝日は、湊に地下室を見せた。しかし、一箇所だけ見せなかった部屋があった。鍵のかかった部屋。何があるのだろう。

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