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秘書

 倉敷湊は、朝日のIT企業へ向かっていた。湊は見事、秘書の試験に合格したのだった。


 東京の港区にその企業はあった。10階建てのビル。建ったばかりなのか、とても綺麗だった。

 

 受付に行くと、湊は受付の人に案内された。エレベーターで10階まで行く。


「失礼します。倉敷湊様がおいでになりました」


「どうぞ」


ドアの向こうから男の声がした。受付の女性にドアを開けてもらう。


「今日からお世話になります。倉敷湊です。よろしくお願いします」


「僕は朝日俊です。この企業の社長してます。どうぞよろしく。今日から秘書として、仕事をしてもらいますね」


 朝日俊は、身長180センチ。細身。黒髪。二重。落ち着いた雰囲気を放っていた。


「承知しました」


「倉敷さんは秘書経験はあるんだよね?」


「はい。以前、××会社で秘書をしておりました」


湊は秘書なんてしたことない。しかし、この日の為に、バレない程度の架空の会社を立ち上げ、そこで働いていたことにしたのだった。これに関しては勇也が全て手配していた。


「それは頼もしいね。じゃあ、1ヶ月分の僕の予定がその電子機器の中にあります。何をするのかを前の秘書が書いてくれているので、それ見ながらお願いします」


「承知しました」


 朝日は、ずっとにこやかだった。どうやら、湊のことを気に入ったらしい。初対面で、朝日の顔をにこやかにすることは普通の人ではできない。朝日はいつもは冷徹で、笑顔を見せない。同じ職場の人たちからは恐れられている。朝日の笑顔を引き出したのも湊のコミュニケーション能力の高さだろう。


 湊は笑顔とは裏腹に警戒をしていた。受け取った電子機器のロックを開けると、最初に前の秘書が書いたページが出てきた。一見、ただのマニュアルに見えるが、一箇所、落書きがあった。落書きというか、文字を間違えて消さずに上からぐしゃぐしゃと消したようなものだった。湊は、朝日と話しながらそこに注目した。


 そこには、フランス語で「気をつけて」と書いてあった。前の秘書が残したメッセージだった。湊は考えた。もし、前の秘書が朝日から抹消させられたのだとしたら……湊は身震いした。湊の緊張の糸がピンと張った。


 湊は、朝日社長の腰を見る。やっぱり入っている。拳銃。朝日は社長でありながら、政府と繋がっている。そして、あの情報を持っている。


「倉敷さん。前の秘書には、昼食は毎日ランチに付き合ってもらってたんだけど、倉敷さんもそれでいいかな? もちろん、奢ります。一人だと飯もまずくなっちゃうから」


「もちろんです。社長のそばにいることが秘書の役目ですから」


「ありがとう。じゃあ、一時間後、ランチで」


「かしこまりました。では、それまで仕事を片付けておきます」



 ランチで朝日と話して、湊は朝日の情報を手に入れた。


①朝日俊は独身。

②25歳の時に起業。

③従業員は、30人ほど。


 こうして、湊の、朝日企業に勤める日々は始まったのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 取り急ぎ5話まで読みました。良くも悪くも女の子の殺し屋って話だと思います。 しかしながら文章の読みやすさのおかげでけっこう、さくさくいけます。 難しい専門用語も少ないのでお気楽に読めそうで…
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