断話 エンドロールはまだ続く
初めまして。
私としては2作目(?)となりますが、まだまだ若輩ゆえ拙い部分が数多くあるかもしれませんが作品が良くなりますように常々心がけようと思っています。
誰もが彼を狙った。
彼を倒す為に降神教会に魔天楼、神秘の民と鉄炎機国と呼ばれる者達が手を尽くした。
本来いがみ合うであろう彼らは過去の悔恨より、協力を優先しただけでなくソイツの"天敵"まで呼んだ。
たった1人の道化を倒す為だけに。
「───今宵も良い夜ですねぇ、僕はこの月の下で死ぬのですか」
彼を称する言葉はどれも皮肉ばかりだ。
だが強いて言うなれば、と相対した誰もが口に出して言う。
「───狂人が」
「僕はその名前、あまり好きじゃないんですけどねぇ…」
嗚呼、これで大丈夫だ。
目の前に立つのはかつての自分を否定し、壊した男。
ここで彼を、彼らを止めれば彼女なら逃げ切れる。
────何を馬鹿なことを。
彼女はこれでは許してくれない、と分かりきっていたはずだ。
彼が遺した傷跡は決して彼を許しやしないだろう。
それでも守りたいなんて馬鹿みたいに分不相応な想いを抱いた。
最期になると思って身を捩って開いた彼の眼に映されたものは、最後に見えたのは死だ。
望まず生まれた彼は美しき景色の為に駄々を捏ねた。
守る為に殺した。
その内、手段としての悪が彼を蝕み彼自身を変えた。
自らを神の道化と嘯きながら神の遣いを一蹴し、怪魔の王が恐怖する程の貌を浮かべ、精霊王の翅をもぎ取り、機帝を鋼鉄の城壁に磔にした。
笑って、微笑って、咲って。
おかしくてしょうがないとでも言わんばかりに、大きく嗤って。
後に【時代の悪夢を下した日】と言われたその日。
世界から恨まれし道化、ラドルーチェ・ハントパイムは死んだ。
誰よりも偽りの笑みを貼り付けた顔でなく、この世と自分自身へのの憎悪と怒りを浮かべた顔でその場にいた者全てに恐怖と戦慄を抱かせながら、死んだ。