91話 見回り(裏通り)
ここ数日、訓練をこなしてから時間の許す限り街の見回りをやっていて気付いた事がある。
(この世界に転生してそこそこ長い期間を女性の身体で過ごしてきたけど、それでもまだ心は男の感じが抜けず、童貞のままの気持ちの俺にとって…刺激が強い!!)
今はまだそんな役割を担ってはいないが、一応王国にとっての最前線の都市がここグレンダン。最初の見回りのときでさえ、大通りを中心に警備していても、所謂性的なサービスを提供する店が少しは見受けられた。だが都市の景観も考えてなのか、まだそういう店であってもどこか品位がある場所ばかりだった。
しかし、見回りを続けていくうちに裏通りのような所にも入っていくようになったら…ちょっとレベルが違った…。
(店構えが大通りのものより露骨になってるんだよ…。昔の遊郭なんかではあったらしいけど、現代だとこういうのはもうあまり無いんじゃないか?店の前面がガラス張りになっていて、そこにもうこれでもかと扇情的な格好をした女性達が道行く人に声を掛けて誘っている。……それはもう!童貞のまま一度死んだ俺には刺激が強過ぎる!!)
そしてそんな刺激よりもある意味困るのが一緒に見回りをしている騎士団の連中が出す気不味さだ…。
(そりゃあね…今の俺は女だからね、どうしたらいいか分からないんだろ?元男だったからその気持ちは分かるよ?例えば家族団欒のリビングのテレビで、アッハーン的な映像が映し出された時のような気持ちなんだろ?だがな!男だったから分かるけども!非常に居た堪れない気持ちになるからそんな雰囲気出さないでくれよ…)
おかげで元男として刺激の強い光景と、こういう店を思わず見ちゃう男のしょうもないところを女性側の視点から味わっちゃった数奇な俺の心情は計り知れないものがあるんだよ………。
(それと扇情的な女性を見て興奮しちゃうのは分かるけど…その視線のまま先頭を歩いて見回りをする俺の尻を見るな!気付かれないように見てるつもりだろうけど、そういう視線は分かっちゃうんだよ!男性諸君、君達が思ってるより遥かに女性は視線に敏感なんだ!見ちゃう気持ちも分かるけど…良くないよ、そういう視線は!!)
気づかないフリしてる俺の擦り減る気持ちを察する事など当然無く、見回りの時間は過ぎていくんだよ………。
そんなセシリアの思いには当然気付かないで、後ろを歩く騎士団の連中はめっちゃ興奮していた。
(店の女もいいけど…セシリア様には劣るなぁ〜。普段の凛々しいお姿とのギャップのせいだろうか…見回りの時は周囲に圧力を与えないよう物腰を柔らかくしておられるみたいだから、訓練のときでさえ気になってしまうスタイルに余計目がいってしまう!)
(歩いているだけでもその揺れるお尻に釘付けになってしまうが、民との触れ合いのときなど油断しておられるのか、チラチラと見えちゃうからたまらん…!ヤ、ヤバいな…最低の理由だけど、こんな魅力的なお姿を見るとこのお方にお仕えしたい!と思ってしまう…)
本人の複雑な心情とは別に、騎士団の忠誠心を思わぬ形で自分に向けさせているセシリアだった―――
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