8話 暇だったんだ…
タイトル通りにして、唐突な説明をぶっこむw
(平和だなぁ〜………)
アプソン川での休憩を終えて、王都を出発して4日目の午前。
王国の領土内では特に何も起こらないとは思っていたから、メイド達が選んだドレスを着ていた。
普段、外に出るときは自身用に特注された騎士服と鎧、腰にこれまた特注の剣を帯びているが、安全ですから!とメイド達に薦められるままだった…
だが、アプソン川を越えればそこは評議国の領土であり、何が起こるか分からないからと、ちゃんと武装した状態で何が起きても対処出来る様にと、ちょっと気合を入れて3日目から構えていた。
構えていた…んだけど………
(何も起きないよ!)
いや、それはね。何事もないのは良い事だよ?
平和は大切だよ?兵士やメイドと笑いながら楽しくやれているよ?
でもさ、もうこれじゃあ旅行と変わらないじゃん!?
何か起きて欲しいなんて言わないよ!誰も傷付かないのは良い事だし、別に俺は戦闘狂ってわけでもないから、戦わなくていいなら戦いたくもないよ!?
だけどさ、普通こういう転生ものとか物語の中だと、移動してる時って何か起こるものじゃない?話を盛り上がる意味でもこうなんかイベントとか起きたりするもんじゃないの?
普段はこの辺りにいない魔物にでくわすとか、金目の物や女を狙った山賊を叩き伏せたりとか!
きっと何かあるだろうと、剣の手入れしたり、騎士服に着替えているのが恥ずかしくなってきたんだけど!?
ま…まぁいいか。1人でテンション上がって恥をかいた気はするが、何か起きても対処出来る様に構えておく事は良いことだ…だよね?
だが3日目にもなるとメイド達と話す話題も減り、小窓から外を眺めるのも飽きてきたので、何か無いかな〜と、ふと自身の着けている手甲を見て思う。改めて見てみるとよく出来てるなこの装備品。
騎士服は派手過ぎず、それでも身分が高い事が見てとれるぐらいにしっかりとしている。上半身部分はノースリーブタイプで、剣を振るう腕の動きを阻害しないようになっている。
姫の魅力を損なわないようにとちょっと開き過ぎている胸元は一言言いたくはあるが、まぁ通気性なんかも考えたらこれもありだ。16歳にしては育ち過ぎてる胸はびっしりとした服を着ると蒸れちゃってたまんないんだホントに…
スカートは何故かミニ…しっかり作り込まれているのはわかるし、動き易くはあるけど、これはどうなの?
戦闘中とか見えちゃうと思うんだ。カイルから聞いてた女騎士の典型のようだけど、そんな服装で動き回るのってアレじゃない、と前は思ってたのに今や自分がその格好でいる事になるとは思わなかったね…
どちらにも生地に砕いて粉末状にしたアダマンタートルといわれる非常に硬い亀の魔物の甲羅が織り込まれているので防御力も抜群なんだが…ちなみに上は白、下は黒を基調とした彩色で、ファッションセンスはないが良い物だと思う。
鎧はぶっちゃけ鎧とはいえないもの。胸当て部分は胸が締め付けられて窮屈だからない。もうこの時点で鎧とは言わない気がする…腰当てと手甲、そして足甲部分だけしかないのだが、俺は一応、これを一纏めに鎧ということにしている。
これらは藍色と呼べばいいのか、普通の青よりなんか深みがありつつも透き通るような不思議な色合い。
そしてこの金属部分には希少金属であり、現在確認されている最高硬度のミスリルで作られている。剣も同じくミスリル製。
軽くも切れ味抜群で大変素晴らしい物です!
金属は王国ではあまり採れないのでこの辺りはほぼディスナ製。
渋いなディスナ。職人魂を感じる作品にちょっとうっとりしちゃう…
平和な馬車の中、そんなどうでもいい事は考えながら時は過ぎていった…
メイド「姫様の騎士服、似合い過ぎててたまらん!」