86話 マラカスの狙い
メイドの後ろをついて行きながら長い廊下を歩く。もう何度かこうやってディナーに誘われているが、今回はいつもより緊張している。王女である俺の身は一見上にも見えるが、俺は王位継承権を放棄してるので、公の立場上は俺とマラカスは同格の将軍。
この同格の相手と話すというのは経験が少ないんだ俺。そんな相手は将軍2人しかいない。その1人であるダラスは豪快でそんな細かい事は気にしない人柄だから気が楽で困る事はない。だがマラカスは名門生まれという自負が強く、礼節にはうるさい人物。そんな相手だから招待される度に憂鬱になっていた…しかも今回はそのマラカスを裏切る事が完全に決まって初の招待だ。
ヘマしないように気をつけないと……。
(赤いドレスは派手だったんじゃないかな?でもこの手の事でシェリルの判断が間違った事はないし…大丈夫だと信じよう)
相手は同格の将軍で女好き、しかも警戒心を抱かせてはならないとシェリルに伝えてきたが、今回は特に!と念を押した結果がこれなんだ。
(俺にはサッパリだが、きっとシェリルぐらいなオシャレさんにしか分からない理由があるんだろう)
多少の不安を残し、マラカスのいる部屋の前に来た。先導していたメイドに「どうぞ」と促されてノックをする。中から返事が聞こえたら静かに扉を開け、テーブルの近くまで行き挨拶をして席についた。
もう何度かやっているけど、この招待で楽しいのは食事だけ…。詳しくは知らないが有名な料理人をお抱えにしてるらしく、出てくる料理の数々はどれも美味しい。マラカスの無駄な自慢話を聞くだけならあまりにも苦痛だが、この料理があるからまだなんとかなっていると言ってもいい。
そんな気持ちを隠してマラカスの話に相槌だけ返しながら料理を楽しんでいると、扉を開けて入ってきたマラカスの使用人がマラカスの耳元で何かを伝えて下がっていった。
「セシリア様、申し訳ありません。少々急用が出来ました。ですがすぐに戻りのでお待ち頂いて構いませんか?」
「……分かりました」
…もしや裏切りがバレた?いや、そんなヘマはしてないはず…ここは様子を見るしかない……。
その頃部屋から出たマラカスは、セシリアのいる部屋の真下にある部屋へ移動してきた。
「セシリアは部屋から動かず椅子に座っているのだな?」
「はい。今なら可能です」
「くっくっくっ…やっとか…何度もディナーに誘って油断させて、この機会の為にかなりの金額を使ったがそれに見合う物がやっとだ!」
そう言うとマラカスは部屋の本棚にある隠しボタンを押す。すると天井から階段がゆっくり下りてきて、マラカスはそれを登る。下りてきた階段分空いた天井に辿り着くと魔法で光を灯し、目的の場所まで這いずりながら進む。音を立てないようにだけ気をつけて。
(ぐふふ…もう少しで桃源郷が見えるはず!この時のために準備してきたのだ!!)
セシリアのいる部屋は2階。その真下の部屋に2階のテーブルで隠れるように開けた天井。テーブルクロスには光が極力反射しない素材を探し出すのに苦労した。光がテーブルの下に見えたら気づかれるからだ。そしてセシリアを何度もディナーに誘うのに有名なシェフを抱えるのにもかなり金を使った。それもセシリアがマラカスが席を離れても待つ理由を美味しい食事という手段にするためだ。
そこまで入念に準備して金を使い行う事…それは覗きだ!
幸いセシリアのドレスはスカート部分がロングではなく膝上ぐらいまでしかないタイプ。本当ならミニが良かったがそれは無理だった。こうしてまんまとセシリアの不意を突いてセシリアの膝が目の前にまである所まで来ると見える。
(フォォォォォ!!!やはりこれは何度やってもたまらんから止まられない!無防備な女が座って、見えないから足を崩すときもある。そのときに奥底に見える桃源郷…女を抱くのとは違う高揚感がここにはある!!深紅のドレスの奥には男を惑わせる紫のサテンかっ!?さすが分かってあるなセシリアはっ!!)
そうマラカスは抱くよりも無防備な女性の下着を覗くのが趣味の変態だった…。散々堪能して下に部屋に戻ると、使用人に部屋に戻るからセシリアにもそう伝えろ!と叫んで足早に去っていった。
それを聞いたセシリアは「なんだったんだ?」と疑問を持ちながら自室に帰った。
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