84話 訓練再開
シュナイゼルの提案に従って騎士団が召集される日まで、マラカスに悟られないよう今まで通りシュナイゼルに訓練を行い、不審な行動はお互い慎むようにしようと決めた。兵士団宛てに書簡を送るのも下手にコソコソやると怪しまれるから、あえてマラカスに将軍として兵士団の様子を確認する為と言って送った。マラカス自身も一応は将軍だ。自分の管理する軍の様子を確かめるのは当然だと言って疑っている様子は無かったと思う。
(まあ多少疑われたところで問題無いんだけどな。何かあるかもとすぐに行動に移すような知恵がある奴じゃない)
腐敗した貴族もそんな敏感に反応出来るような奴はいないだろう。とは言っても用心するに越した事はないから油断しないようにしないとな。
…それにしても……。
(シュナイゼルの気迫が凄い伝わってくるな。訓練だからと気を抜くのは良くないけど…あまり打ち込み過ぎるのも良いことではない…)
王都に一度戻る前と訓練内容は変えていないんだが、鬼気迫る顔で訓練をこなしている。走り込みも筋トレも前とは明らかに違うスピードで終わらせていってる。何がそこまで駆り立てているかは不明だが、これは力を抜かせないとパンクしそうだ。
腕立てと終えて腹筋に入ろうとするシュナイゼルに近付き、足を抑えてから話し掛ける。
「シュナイゼル君、とても真剣に訓練に打ち込むのは素晴らしい事ですが、貴方の身体がついていけてません。怠けてはダメですが、だからといってやり過ぎるのはよくありませんよ?」
まだまだ成長途中の12歳だ。過度なトレーニングは身体の成長を阻害する事もある。初めに話しておいた事だし、シュナイゼルがそれを忘れるとは思えないんだが…。
「あっ、申し訳ありません。ちょっと力を入れ過ぎてましたか?」
「ええ。真剣に訓練するその姿は師として大変誇らしい事ですが、それでもし体を壊したりしたら私は師失格です。貴方は本当に優秀な弟子ですから、これからの成長に期待してますし、出来ればその成長する姿を見ていたいと思っています。力が入ってしまった理由には察しがつきます…でもそれこそ体を壊したりしたら意味がありませんよ?」
「そう…ですね。気をつけます」
そう今はまだ成人もしてない子供で優秀だといっても出来る事はそんなに多くない。このままちゃんと成長してくれてこそ王国の為に繋がるのだ。もしここで再起不能な程のダメージを体が受けたら、俺は初めての弟子の輝かしい将来を見る事が出来なくなってしまう。
(なんだかんだ初めての弟子に興奮しているんだ俺は。そんな子の成長を妨げるのは本意じゃない)
「このまましっかり訓練に励めば必ず貴方はこの国に必要な人材となります。そんな人材を育てたのは私なのだと自慢させて欲しいのですよ私は。師としてこれ以上の喜びはありませんからね」
「…はい!必ずセシリア様が誇れるような人間になります!」
腹筋をしながらそんな会話をして、最後には決意を宿す目になってくれた。
でもね…そんな目をしながらもさ………。
腹筋で体を起こすときに下着を覗こうとしないで…師匠だけど女なのがいけないのか、適度に緊張から抜けて真面目に訓練に励んでくれてる中で、隙をみてやってるつもりだろうけど、そんな目を向けられるのは正直なんともいえない気持ちになるよ….……。




