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転生したら王子と姫になったので国の為に頑張る!  作者: レオン
第三章 王国の強化
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83話 月夜の王女

「セ…セシリア様っ!?な、なんでここに!?それに窓から入ってこられたのですか!?」


「落ち着いてシュナイゼル君。ここに来た事を周りに知られたくないの。慌ててしまうのは分かるけど、とりあえずお願い」


そりゃあ国の王女で師匠でもある人がいきなり窓から入ってきたら驚くだろう。しかもピッチピチの変な服着てるんだから余計に…。


(慌てているシュナイゼルを見てたら、こっちの潜入のドキドキが落ち着いてしまった…そして冷静になってしまうと恥ずかしさで逃げたくなる…俺、何でこんな服をわざわざ持ってきて着ちゃったの?スパイみたいでテンション上がってた自分がめっちゃ恥ずかしいよ…)


いや、そもそも何でこんな服があったの?タンスを漁ってたら出てきて思わずこれが潜入には最適だっ!!なんて思って持ってきたけど、こんな服、普通は無いよね?シェリルの仕業なのは間違いないだろうけど…。


(はたしてシェリルはいつ俺がこんな服を着ると思って用意したんだろうか?というかこんな服、売ってあるの?もし特注で頼んでたら、用意したシェリルにちょっと恐怖を感じてしまうんだが…)


まあ深くは考えまい…それより今の状況だ。ちょっと大きな声をシュナイゼルが出してしまったが、周りの反応が無さそうなのは助かった。シュナイゼルも落ち着いてきたっぽいし、本題に取り掛かろう。


「シュナイゼル君。落ち着きましたか?」


「は、はい…セシリア様がこんな夜更けに戻られて、すぐに周りに気付かれないよう外壁を伝ってこられたのですよね?それ程に用心をして、僕の部屋に来たという事は父と騎士団の件でしょうか?」


………まあなんて優秀な子ざましょう。夜更けに潜入してきたと分かったら、即座にその用件を察するとは…。剣だけじゃなく実に聡明でもある子だ。余計な手間が省けて助かるが、師匠としてはもうちょっと手のかかる子であってくれてもいいのに…。


「シュナイゼル君、貴方は聡明な子です。私がこのグレンダンに来たのもただ貴方の師としてだけではないと薄々勘付いていたのでしょう?そしてその予想は正しい。私はマラカス将軍と騎士団の現状は王国の為にはならないと思う考えの真偽を図る為にここに来ました。その為に貴方の師という立場は渡りに船でした。利用する心苦しさはありましたが私は王女です。国の為に必要だと感じたのなら実行して民に報いる責任があります」


そう、俺はシュナイゼルの師という立場を利用したのだ。マラカスに怪しまれずにグレンダンに入る方法の1つとして。カイルが提案した事だが実行したのは俺。責任は俺にある。ここでシュナイゼルに罵られようとも、俺は王国の為にこの子をこちら側に引き入れる必要がある。


……もしそれが叶わぬなら、短い期間とはいえ弟子として接したこの子を切り捨ててもマラカスと騎士団を断罪する。胸が痛むだろうが、そうする責任が王女の俺にはあるのだ…。


「………分かりました。僕はセシリア様について行きます」


「…っ!?その言葉がどういう意味を持つか、分からない貴方ではないでしょう。本当にいいのですね?」


「…はい。僕がセシリア様に教えを請いたいと言い続けてきたのは、勿論セシリア様への憧れもありました。ですがそれと同時にグレンダンの現状を変える為の一手にならないか、と考えてもいたのです」


「一手、ですか…」


「いくら僕が声を上げたところで所詮はまだ成人もしてない子供の声です。ならば誰かに代わりに声を上げてもらうしかない。そう思った時に王国最強と謳われ、カイル殿下と共に王国を発展させようとなさっていると聞き及んでいたセシリア様なら、と考えました。セシリア様は僕の師という立場を利用したとおっしゃいましたが、それは僕も同じです。王女という立場のセシリア様ならと僕も利用しました」


聡い子だとは思ってたけどここまでとはね。感心してしまった俺をよそにシュナイゼルは……


「申し訳ありませんでした。いかなる処罰も受け入れます」


深々と頭を下げて謝罪した。それを見た俺は…。


(この子は絶対に今後の王国に必要な人材だ!改めてそう思う程にしっかりしている!!)


「ふふ、それではお互い様という事ですね。そこまで分かっていて先の返事をしたということですか。…私は素晴らしい弟子を持てたようですね」


「…!?それでは!?」


「ええ。シュナイゼル、貴方には王国の為、父を断罪してもらいます。もちろん私もついていますから…胸が痛むでしょうがどうかお願いします」


「はい!早速ですが1つご提案があります」


「聞きましょう」


「恐らくセシリア様は、僕の協力というか引き込みに成功したら、すぐにでも兵士団を召集して事に当たるおつもりだと思いますが、それはお待ちいただきたいです」


「…それは何故ですか?」


「近い内に騎士団の全ての者が必ず集まらなければならない日があります。親のコネで入った者だろうとこれを無視すれば罪に問われます。騎士団を一網打尽にする為にはこの日を狙って行動を起こすのが最適かと…」


「なるほど。それは良い考えです。兵士団にはそう伝えて日取りを調整するとしましょう。さて、まだ話したい事もありますが、これ以上ここに長居するのも危険でしょう。私は部屋に戻ります」


「シュナイゼル、協力してくれて本当にありがとう」


そろそろ引き上げどきだと感じて、話をここで終わらせ、最後にお礼を伝える。こちらこそ、とシュナイゼルで言ったのを確認して再び窓から出て部屋に戻る。


(今日は良い日になったな…引き入れるつもりだった子が、思った以上に素晴らしかった)


嬉しくて顔がにやけるのを必死に抑えながら部屋に戻って眠りについた………。



セシリアが寝静まった頃、窓から出ていくセシリアを眺めていたシュナイゼルは同じくベッドで横になり感動していた。


(あぁ〜!!まさかあのセシリア様に引き入れてもらえるなんて…あんな要らないと思っていた父の愚鈍さに感謝しないと…)


顔をシーツで隠しながら悶えていたシュナイゼル。そのシーツを退けてセシリアの後ろ姿を思い起こす。


(窓を飛び越えるのに軽く飛んだセシリア様。月明かりに飛んでいくような神秘さがあった…でもそれ以上に目を惹きつけたのは、軽く飛ぶのに膝を曲げて力を溜めたときにセシリア様の綺麗なお尻でこちらに突き出されていたことだ…あんなピッタリとした服を着てそんな格好をされたら、その美しく滑らかなお尻が強調されて、ピッタリと張りついた服の下にある下着のラインまで見えてしまった…)


(っ!?ダメだダメだ!!僕は一生あの人についていくと決めた。そんな邪な目を向けていい方じゃない!!!)


もう一度頭までシーツを被って寝ると決めたシュナイゼル。思ったより緊張していたのか、眠気はあっさりときた。そして深い微睡に落ちる直前に………


「セシリア様、僕は貴女についていきます…」


最後に改めて誓いを立てて眠るシュナイゼルを、月夜が照らしていた……。

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