79話 カイルに相談
城へ入城して、まずは父に謁見をしに向かう。初めての公務だったディスナの時もそうだったが、父は全て任せてくれるからありがたい。報告を済ませたらカイルと相談するとしよう。城の者にカイルへ伝言を頼んで謁見の間に入る。
「陛下、セシリア只今戻りました」
「うむ、グレンダンでの生活はどうだ?」
「はい、特に困る事もなく過ごしております。明日にはまたグレンダンに戻ります」
「そうか。セシリア、私は全てをお前に任せている。どのような行いもそれが王国の繁栄に繋がると信じておる故、好きにするがよい」
「過分なお言葉痛み入ります。それではすぐに立ち去る無礼をお許し下さい。やる事があるのでここで失礼します」
「分かった。落ち着いたらでよいから、たまには親子としての時間も過ごさせてくれよ我が娘よ」
「…勿論でございます。私も父と触れ合う時間を楽しみにしております」
礼をして謁見の間を出る。国王として忙しい父が信頼して任せてくれる仕事、その信頼に応えたい。それにそんな多忙の身なのに親子の時間を過ごしたいと言ってくれる…本当に尊敬出来る父であり人柄だ。
謁見の間を出て自室に向かう。カイルへの伝言が伝わっているならもう俺の部屋にカイルはいるかもしれない。帰るのは明日の予定だが、早めに相談してカイルの知恵を借りておきたい。カイルも忙しいだろうし、夜に相談するのは申し訳ないしな…。
部屋に着いて入ると、既にカイルが来ていた。
「もう来られていたのですねお兄様。わざわざお呼びして申し訳ありません」
「ああ、急な呼び出し、どうした?」
「グレンダンの件でちょっと悩み事が出来たので、陛下に呼ばれたと嘘をつき、今日だけ王都に帰ってきました。お兄様の知恵をお借りさせて下さい」
「俺の知恵…ね…。セシリアより賢いつもりはないんだが、そう思って頼ってくれたならそれに応えられるよう努力するとしよう」
カイルも仕事途中に来てくれてたので、部屋のテーブルでお茶を飲んで一息ついてから、グレンダンでの現状を話す。最初は相談内容を険しい表情で聞いていたカイルは、シュナイゼルの後見人を話にいくと柔らかい表情に…。
(あれ〜?相談のメインのシュナイゼルの話で柔らかくなるの?ならその前の険しい表情はなんなの?)
「セシリア…」
「は、はい?」
「シュナイゼルの件は簡単だ。話を聞いてる限り、俺もこちらに引き込むのに賛成だし、後見人はセシリアがやればいい。どうも難しく考え過ぎだぞセシリアは、後見人だからと常に近くにいる必要なんてない。どうしても不安なら信頼出来る誰かを代わりにグレンダンに派遣すればいいだけだ」
(………えっ?そんな感じでいいの後見人って?なるからにはちゃんと見てあげないと、と思ったけどそんなもんなの?)
「そんなものなのか?とか考えているだろ?普通、後見人なんてその程度だよ」
「そう、なのですか…それならシュナイゼル君の後見人になるとしましょう。ありがとうございますお兄様。私は難しく考え過ぎて答えが見つからなくて困っていたので…」
「まあ責任感の強さからきたことだ、そんな悪い事ではないさ。……だがそれよりも」
また表情が険しくなっていくカイル。
「マラカスと騎士団の存在が許せない。親からの金で豪遊し、北部守護の任を果たしてもいない。更にセシリアを見る目とやらだ、何も出来ない無能どもが一丁前に女性に対する姿勢も無能だとは…もはや存在する必要を感じない」
烈火の如く怒りを露わにするカイル。
(なるほど。それが原因で険しい表情をしていたのか…)
「私も同意見です。シュナイゼル君の問題が解決したら、彼らには今までの対価を払わせます。誰一人として逃しはしません」
「ああ、それを聞いて安心した。必ず報いを受けさせてやれ」
「ええ」
シュナイゼルの問題を本人と話して解決出来たら、すぐに今まで遊び尽くした報いをマラカスと騎士団に受けさせてやる!




