77話 シュナイゼルの立場
グレンダンに来て1週間が経った。
朝と昼はシュナイゼルの訓練を続け、少しずつだがその成果も現れてきた。本人もちょっとだけだろうけど強くなってる実感が掴めているようだから、一層訓練に力が入っている。
夜はマラカスに誘われての食事かシュナイゼルに座学を教えている事が多いが、たまにグレンダン周辺の見回りに参加しているが、当然、グレンダン付近を担当するのは騎士団の連中。見回り中だろうがウザい視線が飛んでくるけど、感覚が鈍らないようにするため我慢。
そんな平穏?といえる日々を過ごしていたが、あまり長居は出来ない。そろそろどうするか考えて動き始めないとな…。
まずはマラカスの処遇。やはり将軍としてどころか、王国にとって害でしかないと改めて思った。名門グラウディアの名を借りるばかりで自身は何の才も無い。ただひたすらに金と女と酒に溺れる典型的なダメ男だ。俺も滞在中は散々言い寄られたし酒に付き合えばセクハラもされた。だがおかげでというほどでもないが、この1週間で簡単に様々な行いの証拠も集められた。ロペスと違って身体を張る必要もないレベルだったけど。これがあれば国家反逆罪として処刑するのに十分。
(だがまだそうするわけにはいかない…)
そう出来ない理由がシュナイゼルと騎士団の処遇だ。
騎士団はシュナイゼルを認めていない。清廉潔白を地でいくシュナイゼルの性格は騎士団にとって邪魔でしかないからだ。騎士団の連中は親の金や今の地位で楽しんでいる。それを邪魔しそうなシュナイゼルがマラカス亡き後、グラウディア家を継いだら消しにかかると思う。これは最後の問題であるシュナイゼルの処遇を決めれば上手くやる手もあるんだが…。
(そう、マラカスと騎士団なんていくらでもやりようがあるからなんとでもなるんだ…。問題はシュナイゼルをどうするか、だ)
シュナイゼルは実力も人柄も十分優れた子だ。俺に対する尊敬の念も訓練のおかげで増しているし、父親であるマラカスや騎士団に不満を抱いてもいるから、こちらに引き込む事は簡単だし裏切りもしないだろう。なら何が問題か………
(まだ成人には遠いんだよな〜…)
そうなのだ、成人していない、これが問題。仮にマラカスを処刑したら嫡男であるシュナイゼルがグラウディア家の当主にはなるだろう。だが王国では成人していない者が地位を継ぐ場合、成人までは後見人が代理を務める。つまりその間は後見人次第でシュナイゼルの意向を反映させない事も可能。当主ではあるがまだ発言権が無いから、そうなったらそれを覆す事はまず無理。
(俺が後見人になる事も考えたが…俺は基本的に王都から離れない。グレンダンまでの距離は大した事ないが、後見人として見守る事が出来るかと言われたら微妙なんだ…)
………一度王都に帰って父やカイルと相談してみるしかないか。グレンダンの問題は早急に片付けておかないといざという時に困る事になる。
そう決めてシェリルに王都へ戻る準備を命じて眠りにつく事にした。




