66話 専属メイド
「ありがとうございますお兄様。おかげで沈んでいた気持ちが明るくなりました。」
「いいさ。またお前に負担をかける事に申し訳なく思うが、どうか頑張って欲しい。」
「そのような事はお気になさらず。ロペスの時と比べれば実に楽しそうなお話です。あの邪魔な存在を消し去れる上に初めて弟子を持てるかもしれないのですから。」
父には話を通しているそうだし、マラカスも断りはしないだろう。出立の準備をしておかなくてはっ!
「お兄様、それでは私は準備があるのでここで失礼します。嬉しい話をして下さったお兄様に私もお礼をしましょう。」
「お礼?」
椅子から立ち上がり、城に背を向けて窓から見えないようにする。そしてスカートをたくし上げて下着をカイルにだけ見せる。
「ぶっ!?何をしているんだセシリア?」
周りに気づかれないよう慌てながらも大きな声を出さないカイルにちょっと尊敬。
「私のを見ても衝動は起こるでしょう?お兄様の魔力を増やすのがお礼だとでも思ってください。」
「…全くお前は。まあそのお礼、ありがたく受け取っておこう。」
「ふふ…はい。」
さて、シェリルとメリルに準備を手伝って貰わなくては。
(いくら中身が男だと分かっていてもあの容姿が相手だと反応してしまうな…。自分の節操の無さに呆れる…)
部屋に戻り2人にグレンダン行きを伝える。するとロペスの時は教会だからついていけなかったけど、今回は自分達も連れて行って欲しいと懇願された…。元々連れて行くつもりだったけど、改めてこう言ってもらえるのは嬉しいものだ。
もちろん連れて行くよ、と伝えたら2人は大はしゃぎで準備を始めた。そして俺も自分の準備をしようとしたら2人に私達に任せて!と言われてしまい服や下着など身の回りの物は任せる事に。
(俺、暇になっちゃうから少しはさせて欲しい…出立に際しての公の準備はもうカイルが手を回しているだろう。俺、する事ない)
暇を持て余した俺は剣の手入れをする事にした。その間もテキパキと準備を進める2人。服や下着を選んでいる2人を見てると思い出すな〜。
幼い頃から元男であり、この世界でのファッションなんて知らない俺は服や下着を自分で選ぶ事が出来なかった。そんな時、当時の唯一の専属メイドだったシェリルに姫様はお美しいのだから!と言うシェリルの雰囲気に押されて全てを任せた。まだ子供だったときは年相応の物を選んでくれていたが、結婚して価値観が変わったのか、俺が成長したからなのか、あるときを境に随分色っぽい下着や足は出さずとも胸元が開いた物をよく選ばれるように。騎士服のデザインも全てシェリルが考案したものらしい。
そのうちメリルが専属になると元気いっぱいで年相応の感性のメリルはその性格らしい物を薦めてくるようになり、俺の着る服や下着のデザインは色気のあるシェリルの物と清楚だったり明るい色のデザインのメリルの物と分かれるようになっていった。
慌ただしく部屋を駆け回る2人を見ながら剣の手入れをして、そんな思い出に浸る俺は2人からは母が子を慈しむような柔らかい笑みを浮かべていたらしい。




