56話 準備完了
証拠を見つけて3日が経った。
見つけたその日に城とカイルへは連絡を送った。逃さないようしっかり準備を整えてくれるらしいから、俺がやる事はロペスに勘付かれないことだけ。一応、用心しながら降臨書の行方も探してはいたんだが時間が足りない。とりあえず降臨書は諦めるしかないだろう。
(そろそろ準備も終わった頃だろう。明日辺りが妥当なところか)
事にあたるときは逃げられないよう兵士が教会の周囲を取り囲み、カイルが教会に入ってくる手筈だ。ロペスが聖堂にいて証拠を処分出来ない状態が望ましいから、俺の合図でそれらを行う事になっている。おそらく今日の朝の祈りの時間にでもカイルからの使者が準備完了を伝えにきてくれるはずだ。
この3日間は細心の注意を払ってきた。ここで逃げられたり証拠を消されたら終わりだからな。
…ロペスに悟られてはいないはずだが、この3日間はやたらとロペスのセクハラが激しかった。まるで自分の最後を察知しているかのようだ。そんなこと考えてるはずないが…俺から見るとそう見えてしまうレベルで酷かった…。
(あそこまで性に傾倒する姿は見ていて気持ち悪いものだな。まあ脅迫したりして身体の関係を強要はしてこないところが救いでもあるし、踏み込みづらくもあるんだが…)
ロペスはどこまでいっても身体を求めてはこない。下着はいくらでも覗いてくるし、胸や尻を触ってくる事はあってもそれ以上はしない。それもかなり不快ではあるが、所謂本番は求めてこないから一定のモラルは守られている。
(これがロペスが今まで好き勝手やれたことの理由の1つだろう。枢機卿という立場、普段は紳士的な態度、どれだけセクハラ紛いのことをしても本番までは要求しない強かさ。上手くやるもんだ)
本番まで要求したらさすがに告発するシスターもいただろう。そのラインを越えないギリギリの綱渡りがロペスを枢機卿に留まらせられた大きな要因だ。
そんなことは朝食を食べながら考えて、聖堂に集まって仕事の割り振りの際に俺は入口役を願い出た。たぶんカイルの使者がくるはずだからだ。もし今日こなくても最近入口の仕事はしてないし、そろそろここでの仕事も終わるから人ともっと接してみたかったというのもある。
(はぁ〜…やっぱり人と間近に接していられる入口の仕事が1番楽しいな!)
教会に来る人達も俺がいる事に慣れてくれたのか、気さくに話しかけてくれるから本当に楽しい。こういうところはやはり王族というしがらみが無い今に感謝だな…。まあ中には緊張しちゃう人もいるが、それはそれで面白いものだ。
久しぶりに人と触れ合って気持ちが高揚していると、少し顔を伏せてすれ違う人が近くにきて呟いた。
「セシリア様、カイル様と兵の準備が整いました。合図を頂ければすぐに包囲します。」
「それではちょっと忙しないでしょうけどもう配置について下さい。丁度今はロペスは聖堂にいます。午後になると執務室に篭りますから今がチャンスです。」
「かしこまりました。すぐに行動を開始するのでセシリア様もお願いいたします。」
よし、準備は整った。やるか!




