55話 証拠を掴む
(あるぇ〜?嘘だよね?こんな簡単に見つかっちゃうの?)
寝室に入って扉をしっかり閉め、素早く着替える。
そしてあまり多いとは言えない時間を少しでも活用しようと、前から目星をつけてた所へ一直線に向かった。
そこそこ広い寝室。窓際にある無駄にでかいベッドが途切れた先、部屋のほぼ中央に位置する床に違和感を感じていた。色や材質こそ変わらないが木の繋ぎ目が少し浮き、明らかに動かした跡が見られたからだ。
(さすがにこんな分かりやすくはないだろう、と罠を警戒すらしていたのに…)
慎重に持ち上げてみたらなんとビックリ…書類の束が出てきましたとさ……。軽く目を通してみたがあるはあるは不正の証拠の嵐。しかも怪しい金の動きの行き先が分かっただけでも十分なのに、今までやってきたシスターへのセクハラや手篭めにした信者の女性など、実に正直に書き綴った日記まで見つかった…。
(ここまで揃っちゃうとなんか哀れだ…。そんなに賢くはないし脇が甘い奴だろうとは思ってたけど、それでも枢機卿に上り詰めるぐらいには策に長けているかも、と警戒していたのに……こんなバカな奴だったとはな〜…)
枢機卿となりやりたい放題やっていくうちにもう自分に歯向かえる者はいないとか傲慢になったのかね?まあ事実、教会内ではいないだろうけどさ…聖女とさえ呼ばれる人すら逆えず耐えていたらしいしな。
(でもここには降臨書は無いみたいだな…。さすがに不正の証拠や卑猥な日記とは一緒に出来なかったか?そんな良心があいつにあるかは怪しいものだが…)
降臨書が1番の目的ではあるんだが、見つからないものは仕方ない。何よりその為にまだシスター達に耐えてもらうというのは俺が我慢出来ん。だが万が一抵抗されたときや逃亡を図る可能性を考えて俺1人で事にあたるわけにはいかないから城へ連絡して追い詰める準備をしてもらおう。
(それまではこれを見つけた事を悟られないよう、今まで通りにしているしかないな。シスター達には申し訳ないが…)
綺麗に床の木を戻してから、探しているうちに汚れた服をパパッと払い鏡で改めて身嗜みを確認して執務室へ戻る。
「ロペス神父。お待たせして申し訳ありません。」
「大丈夫ですよ。女性の着替えは時間がかかるものです。」
そういうとこに理解を示せるなら、もっと女性を大切に扱えよ…普段口から出る紳士的な言葉と、性欲に正直な行動、二律背反過ぎだろ…。
「ありがとうございます。それではソファーの掃除から始めます。」
「ええ。お願いします。」
(ぐふふ…さあてここは着替えたという下着を見ておかねばな〜。どうやって見ようかの〜…よし!ここは童心にかえったつもりでこどもの悪戯の定番でいくとしよう)
ロペスに背を向けて黙々とテーブルを吹き上げているセシリアの後ろに忍び足で近づき、ロペスは下から一気に上へと手を振り上げる。
そう!子供の悪戯の定番!!スカートめくり…!
その行動をロペスにされるとはさすがに思わなかったセシリアは驚く。
「キャッ!?ロ…ロペス神父!!悪戯が過ぎます!お仕事をなさって下さい下さい!」
「うむうむ。すまんな。」
スカート部分を手で抑えながらセシリアは注意する。
(うっほぉぉぉ!サテン生地の黒い光沢に白のレースが映える下着だ!あんなエロい下着も穿くんだなセシリアは。それにスカートを抑えながらまるで近所のお姉さんに咎められたような言葉…興奮が止まらん!)
ロペスはデスクに戻ってからも興奮が収まらないようだった。
見えた下着も、スカートを抑える恥じらいも、絵に描いたようなお姉さんみたいな言葉も…
全てセシリアの計算通りとも知らず………。




