50話 執務室での仕事終わり
ソファーの掃除から色々と命令されてきたが、その全てがセクハラのためにやってたようなものだった…。
本棚の掃除をするのに作業台に乗ったら初日のように下から覗かれ、ロペスのデスクの後ろの窓を拭いていたらまたも下から覗かれ…あれ?こいつローアングル好き?とかどうでもいい事実を確認したり…
(まあ1番驚いたのは今まではなんだかんだ見てるだけだったこいつが直接手を出してきたことだけどな…)
ロペスの横で書類の整理をしてたときに尻を触られた。最初は服の上からだったが抵抗しない俺を見て調子に乗ったのか、服をめくって下着の上からまでやられた。
(こいつ、どれだけ自分の権力が強いと勘違いしているんだ?)
いくらルシア教会の最高職である枢機卿とはいえ、見るだけならともかく手を出したら不味いだろう。
ましてや俺は曲がりなりにもこの国の王女。王族を相手にこんな行為を働けば、さすがに首が飛ぶ。俺の狙いがこいつの失脚だけじゃないから我慢しているが普通にありえない所業だぞ…。
(それともこんな振る舞いを王族にしても揉み消せるほどの力があるというのか?そう感じるぐらいにこの男は自信に満ちている)
もしそんな力を持っているなら見逃せない脅威だが…俺が見てきた感じ、こいつにそこまでの力を持てるとは思えない。仮に本当に何かしらの後ろ盾や黒幕がいるというのなら、そいつらの目は節穴か?こんな男にそれだけの権力を与える価値があるはずがない。
(…安易に決め付けるのは危険だな…その辺りも探っていかないとダメそうだ)
精々今は楽しませてやろう。むしろもっと俺を気にいるように仕掛けて、更に懐に潜り込んでやる。
「ロペス神父、掃除終わりました。」
「ご苦労様です。ほとんどの業務は終わったので着替えてもらって結構です。」
「分かりました。」
やることなくなったみたいなので言われた通り着替えるために寝室に入る。元の修道服に着替えている間に寝室の間取りや家具の配置を頭に叩き込んでおく。いずれ探索するつもりだ。今のうちに目ぼしい場所を確認しておきたい。
ゆっくり着替えながら部屋を見渡していると、気になる点が2つほどあった。もっと確認したいがあまりに遅いと不審に思われてしまう。今日はここまでと区切りをつけ執務室に戻る。
「着替えてまいりました。」
「…随分時間が掛かりましたね?」
見渡すのに時間を使い過ぎたか…?怪しまれてる…まだ勘付かれて困る。ここは誤魔化さないと…!
「申し訳ありません。着替えている最中にガーターベルトの留め具部分が外れてしまい、それを直すのに時間が掛かってしまいました。」
この言い訳だけで納得はしないだろう。だが俺には考えがある!
「この留め具部分なのです。動いているうちに緩くなっていたようで…お時間を掛けてしまい申し訳ありません。」
そう!あえて留め具部分を見せる!
元男の俺には分かる。ミニスカから見える景色もいいが、隠れている部分が多い服ほど、その奥にある景色は格別だと!!普段の修道服の長い裾を持ち上げて留め具部分が見える。この光景はなかなかお目にかかれないだろう!?
(色々言ってるけど結局はエロで誤魔化しているだけだけどなっ!?)
「むふ…そうでしたか。それでは仕方ないですね。今日はご苦労様でした。部屋に戻って結構ですよ。」
「分かりました。ロペス神父もお疲れ様でした。」
よっし!!多分誤魔化せた!
執務室を出て部屋に戻る廊下で上手くいった筈だ、と自分を鼓舞する俺がいた…。




