40話 教会へ潜入
その日の夜、ロペス卿から早くも返答がきたらしい。
いつでも来てくれ、とのこと。
(あの仕事しない野郎にしては返事が早過ぎる…だが俺が動く理由を察せるほど優秀だとは思えないし、好みの女が自ら転がり込んでくるのが楽しみってとこか…)
これで明日から教会に通う事が出来そうだ。
正直、あんな男の元で働くのは反吐が出そうだが、目的のためなら我慢するしかない。
(期限を設けなかった父には感謝だが、王女の身で将軍という地位にもある。いくら褒美といえあまり長く職務を離れるのは快く思わない者も出てくるだろう)
あの無能な男がさっさと尻尾を見せてくれるといいんだが…
そう願いながら眠りについた。
翌日、朝から教会に赴き扉を開けるとロペス卿が待ち構えていた…
(うげぇ…神父自らお出迎えですか…入った瞬間から気持ち悪い視線向けてくるなよ、マジで…)
そんな事を思いながらも表面は笑顔!
本当に勘弁して欲しいレベルの視線だが、この際気に入られているというのならそれすら利用してやる!…それぐらいの気概でいくんだ!…そう思ってやらないと耐えられん…
「これはロペス卿。自らお出迎えして下さるとは感謝に堪えません。」
「ぐふ…王女様が実に敬虔なお方と分かり、あまりの嬉しさにこうして出迎えに参上しました。」
「それはそれは…誠にありがとうございます。それでは私はどうしたらよいでしょうか?無論王女だからと特別扱いなどはしないで下さい。」
「王女様ならそう言われると思い、こちらも準備しておりました。まずは着替えて頂きます。教会に仕えるならばシスターとして修道服を着るのは当然でございますから。それからシスター見習いとしての仕事に従事していただきましょう。」
「分かりました。よろしくお願いします。」
ロペス卿の後ろに控えていたシスターに案内されて、これから泊まる部屋と修道服を渡される。
(まぁ覚悟してたが本当に教会内で生活する事になるとはね…シスター見習いなら当然ではあるんだが、修道服も既に準備済みとは…普段からこれぐらい素早く仕事してくれねえかな…)
部屋で修道服に着替える。ヴェールを頭にあしらい、服は落ち着いた紺色のワンピースタイプ。腰の部分を紐で締めて、余計な飾りも無く、正しく慎ましいシスターの服…なのだが…
(何でガーターベルトまでが揃えられてるの?これ着けるのが正装なわけ?訳分からん…)
釈然としないが用意されている以上着かないわけにもいかないだろう。置いてある鏡でチェックして、これで準備オーケー!
まずは周りからの信頼を得るために真面目に働きますか!




