3話 誓い
プロローグはあと1話です。
「はっ?TSってなんだ?」
再び出会えた喜びを噛み締めてハグぐらいいじゃん?と動き出そうとしたら、意味不明な叫びをあげる親友に問いかける。
「そういえば話した事無かったっけ?最近だとわりと流行ってると言えなくもない気もしなくもないジャンルだ!」
「TSはトランス・セクシャルの略でな!異世界に転生するとか何かしらのキッカケで性転換するっていう現象を使ったもののことなんだよ!」
「いやぁ〜、自分がそうなったらある意味面白そうだな〜って、結構見てたんだよ!」
いや、流行ってるのか流行ってないのかわかんねぇよそれだと…
しかも、性転換して面白いことなんてなかったぞ今まで…
そりゃあ俺も健全な男だし、女体の神秘とか気にはなったけど、自分の身体だし、何よりまだ子供だしな〜…
自身の身体じゃないとしても、さすがにこのぺったんこな身体に何か思うところあったらそれはもう変態だろ…
「まさか、親友にまた会えたと思ったらTSしてるなんて、俺の人生捨てたもんじゃないな!」
「1度死んでんだから第二の人生だけどな…」
やべぇ頭痛い…頭が良過ぎる代わりにちょっと変わってる部分もあるとは思ってたが、そんなジャンルにも手を出してたのか……
ま…まぁいいさ!TSしたからなんだ?って話だ!また親友と会えて立場は兄妹にはなっちまったが、こいつともう1回つるんでいけると思ったら大したことないさ!
…た…大したことない、よね?…たぶん、きっと。
「それでだ!竜也はこれからどうするつもりだった?異世界に来てまだ6年だが、なにかしたい事とかあるのか?まぁよくある転生物みたいに冒険者になれる身分じゃないし、自由に色んなとこ行ったりとか出来ないだろうが…」
「それはもう決めてる。まだ6年程度とはいえ俺はこの国の人達が好きだ!姫という立場を考えても、自分の気持ちと向き合っても…俺が成したいのはこの国をもっと良くする事だ!」
そう、生まれてまだ6年。そんな短い間だけでもお世話になった人達は沢山いる…
剣の稽古に姫の遊びなどと考えず真面目に真剣に付き合ってくれる兵士達。
まだ女になった事に慣れなくて色々と迷惑をかけていたのに、それでも嫌な顔をせず身の周りの世話をしてくれたメイド達。
なによりも忙しい中でも俺達に愛情を注いでくれている王と王妃である両親に!
優しくも、ときには厳しく、支えてくれている人達に恩を返さずに生きていくなんて愚かな真似を俺はしたくない!
「そうか…さすが親友!俺も全く同じ事を思ってた!!それなら俺達でこの国を支え、そしてこの異世界にきた軌跡を歴史に刻んでやろうぜ!」
「ああ!今はまだ何が出来るか分からないが、必ず恩に報いる!!」
王城の広い庭…その中でも一際大きな木の下で、再び出会えた親友とこの異世界で、自分達が転生した意味を残してやる!
転生して王国に生まれた双子の兄妹…6歳でまた共に歩む存在と再会し、故郷の繁栄を誓う。
ここからが彼らの本当の異世界人生の始まり…!
メイド「あああああっ!王子と姫の仲睦まじいお姿…尊い」