38話 褒美
翌日…また謁見の間に来ている。
(な…なんだろ?ちょっと調子に乗りすぎたのかな?小娘ごときがっ!?とか思われてたなら怖いぞ…)
再び謁見の間に呼び出された意味を図りきれず、相当焦っている。みんな優しい人達だと分かってはいる。子供の頃からお世話になった人も多い。
でも所詮公務の仕事を始めたばかりのひよっこなのだ。何か不手際があった可能性も十分にある。
「さてセシリア、此度呼んだのは他でもないそなたに褒美を取らせたいからだ。」
「え?褒美…でございますか?」
「セシリアよ、そなたの最近の働きは大臣達も認めておるし、褒美を取らせるべきと言い出したのも大臣達じゃ。」
「そ…そんな、私は皆様の日頃の働きにさえ届いておりません。そのような身で褒美を貰うなど…。」
俺はまだ王女としての役目を始めたばかり。ずっと王を支えてきた者達に比べればやった事など微々たるものだ。そんな俺が何かを受け取る訳には…。
「セシリアよ、自覚せよ。そなたが成した事はそれ程のことだ。亜人種対策はまだ成果を出す段階ではないが、我々が見落としてきた問題だ。本来ならそなたの前に誰か軍の者が気付かなければならなかったこと。そしてそれが出来なかった理由もそなたは提示した。任務での街の滞在が無く、軍の者が街の実情を確認できていなかった、とな。」
「そして最も大きな功はディスナ評議国との同盟関係を強固にしたことだ。結ばれていた同盟で関係の進展とゼロからのスタートではないが、外交というのは自国の思い通りにことを運ぶのは非常に難しい。あの教会のロペス卿でさえ、このことに関しては褒めていたほどだ。」
「ロペス卿が…ですか…」
…それは面白い。どうやって探ろうか悩んでいたが、ここはこちらから飛び込んでやろう。遠巻きに探っていてもラチがあかないのは既に分かっている。ならば多少危険でも切り込む口実が無いかと考えていた。
「分かりました。信賞必罰が王であるお父様の役目。ここで辞退すればお父様の面目が立ちません。此度の2件はその道程が平穏で心を落ち着けていられたルシア様の加護が私の手柄に繋がったのだと私は思います。」
「ロペス卿も認めて下さるのならばここは褒美として私にルシア様に感謝を捧げるべく
、教会に奉公する事をお許し頂けるのを褒美とさせて頂きたく思います。」
「ふむ、手柄は認めるが、その工程にはルシア様の加護の恩恵があったと申すか。…よかろう!ロペス卿には私から話をつけておく。セシリアの望むだけ教会への奉公を許そう!」
「ありがとうございます。それでは私は失礼します。」
拝礼して謁見の間を出る。
(よかったぁぁ!これで教会に潜り込めるし、父の面目も保てただろう。正直、欲しい物なんてないし…褒美なんて言われても困るだけなんだよ…)
セシリアが出ていった謁見の間………
「ちょっとセシリア健気じゃない?俺、泣きそうだった…。」
王のして威厳ある態度で接していた父はその振る舞いに心打たれ過ぎていた…言葉が崩れるレベルで。
「自分の手柄だと誇ってもいい功を立てたのに、その道にはルシア様の加護があったから、などと。天使かっ!?」
「あぁ、叶うなら子供の頃のように頭を撫でてあげたかった…。」
セシリアの謙虚さに王女としてでなく、幼い頃から見てきた孫を慈しむような気持ちになる大臣達と王だった。
…本人の思いもよらぬところで株爆上げ中!?




