30話 指導
50人相手の乱取り、あっさり終わっちゃった…
いや、手抜きだと思わないで?そういう部分もあるけど…
それ以上に弱かったんだよ…ホントだよ?書くことないレベルだったんだよ?……まぁ言い訳はもういいか。
自警団というにはわりと強かったほうかもしれん。
だが、将軍という職務に就いている以上舐められるわけにはいかない。なので全力で薙ぎ倒してやりました!
「もう終わりですか?私はここから一歩も動いていませんよ?」
「ま…マジかよ……強すぎる!」
「あれが将軍の実力ってことか…!?」
(ふふん!この舐められた状態を叩き伏せる快感は堪らないね何度やっても!軍に属して以来、どれだけの同じような奴を潰してきたことか…)
王女でありながら軍に属し、将軍にまで上り詰めるまで様々な修羅場を潜ってきたのだ!
ホント、色々大変だったんだよ…
「あなた達の気持ちも分かるからこそ、このような手段を用いました。王女のくせに、功績なんて部下のものだろ、そういう視線に私は実力を示し認めさせてきました。あなた達もこれで私との実力差は分かったでしょう。まずは相手の実力を認め、自分の力量を把握する。これが強くなる為の一歩です。」
その言葉に地面に伏していた顔に火が灯る。
「さあ、それでは倒れている暇はありません。訓練を行いますよ。」
「「はっ、はいっ!」」
こうして訓練を始めた。
自警団の実力は決してダメだというほどのものではない。基本はしっかりしてるし、体力もあるほうだ。短い期間だが少しでも力をつけさせてあげたい。それが村のため、ひいては王国の為になる。
「ほらっ!剣の振り方が甘いですよ!訓練だからこそ一振り一振りを真剣に行うのです。そうして振るった剣こそが実戦で役に立つのですよ!」
「「はっ!」」
あの誓いからずっと軍に身を置いてきた。自身の鍛錬も兵の訓練も数え切れないほどやってきた。もはや生活の一部とかしているこの風景は、俺の身体に馴染むものだ…
皆が整列して振るっている剣を暫く眺めていると、女の子が俺の近くに走ってきた。
「セシリア様カッコいい〜!私もセシリア様みたいになれるかな!?」
まだ小さいのにちゃんと敬称を使える聡明な子だ。キラキラした眼差しに頬が緩くなる。
「ええ。あなたもきっと強くなれるわ。でもみんなと剣を振るには早いから今日は私と一緒に見ていましょうね?」
「うん!」
女の子に視線を合わせるよう地面に膝がつきそうなほど屈み、頭を撫でながら笑顔で諭す。元気良く返事してくれる女の子の笑顔が眩しかった…
すると撫でられて嬉しかったのか、抱きつきたそうに瞳をウルウルさせ始めた。
それならと腕を広げて微笑み、「おいで」と声をかける。
でもいってもいいのかと困惑してしまった女の子。
そんな女の子に精一杯の笑顔で応える。
女の子はその笑顔に促されてくれたようだが、まだ加減を知らない子供。その勢いは予想以上だった…
俺は訓練している自警団の正面にいるのだが、勢いにのった女の子を踏ん張れないこの姿勢では支えられず後ろに倒れてしまう。
女の子は倒れたことなどお構いなしといわんばかりに抱きしめ、俺の胸辺りに頬ずりしてきてめっちゃ可愛い…
だが、この位置と体勢は自警団からは丸見えだろう。
女の子を押し退けるわけにもいかないし、…まぁいいか…そして俺は諦めましたとさ……
(倒れたセシリア様が必死に足を閉じようとしておられるのが余計艶かしい。それでも隠しきれないその奥の下着が見える!)
(うぅ…不敬とは分かっていても目がそこにいってしまう。)
(セシリア様…あんな色っぽい黒の下着を穿くのか…しかも足を閉じようともがかれるほど下着にシワがよって、ますますエロい。)
女の子にやられた!と見られた事を実感しながらも、太陽のように眩しい笑顔の女の子を見て、仕方ないかと諦めるセシリアがそこにいた………




