26話 疾走
帰還した翌日。まだ休んでいなさいという父の優しさがちょっと恨めしい…
することがないんだよ!起きてから昼ご飯を食べた今、それまでずっと部屋でボ〜っとしてるだけだったよ…
父と母はウィルの対応に忙しい。俺もそこに混ぜて欲しいよ優しい両親よ…
他に頼るとしたらカイルだが、あいつの手伝いは嫌だ。おそらく政務と昨日の件での図書館のどちらかだろう。どちらも頭脳派ではない俺には苦痛だ。やれる事ならやりたいがカイルの性能に俺がついていけないので、かえって邪魔になるだけだ。
将軍としての仕事も俺がいない間を引き継いでいた副官が、俺がいない前提で1ヶ月の予定を組んでおり、暇だからとそこに割り込むのは兵士達が困ってしまう…
(マジでする事ない…1人で魔物討伐にでも行っちゃおっかな〜)
そんな物騒な事を考えたがそれは当然無理な話。
はぁ〜と溜息をつきながらふと庭の緑を見て思い浮かんだ。
(そうだ!平原にあったルーク村!あそこに行って農業に従事している人達と交流したい!)
昨日のルシア教会への探りは事を急いでは危険だ。それならルーク村で民を慰労するのは良いんじゃないか?
思い立ったその日が吉日と古来より言う!父に許可を取りに謁見の間にダッシュし、行ってくるぜ!とゴリ押し。
ちょっと考え無しだと思われるかもしれないが、このままでは父はまだまだ休みを取らせてくるだろう。
退屈は人をじわじわ死なせていく毒なのだ。
ここは突っ走ってでも行くと決めた!
謁見の間から戻ったら騎士服に着替え、兵の駐屯所へ向かう。さすがに突っ走るとは言っても1人で行けるような身分では無いのは承知の上。副官の予定表から5日ほど抜けても大丈夫な人選は選んである。
駐屯所でそれらの兵士達に声をかけ、いきなりで困惑しているだろうけど、GO!と勢いに任せて出発。
多少の着替えや路銀を馬にくくりつけ、城門を出てひた走る。
(うぉぉぉ!やっぱり自分で馬に跨り、騎士服で疾走するこれが俺には合ってる〜!正直、いきなりの行軍で色々な人に迷惑をかけただろうけど許して下さいっ!)
心の中で皆に謝罪して、1番迷惑をかけた連れてきた兵を見る為、後ろを向くと兵士達は笑っていた。
「姫様〜!最近訓練や街の巡回ばかりだったので、こうやって疾走出来るのが楽しいです〜!お誘い頂き感謝します!」
嫌そうな顔されてたらちょっと心折れるな、と思ってたら連れてきた兵士10人は実に楽しそうに笑っていた。
(おいおい…そんな事言われたら余計テンション上がっちゃうだろ!?)
「皆!私についてきなさい〜!ルーク村まで一気に駆け抜けていきますよ〜!!」
「「「はっ!」」」
久しぶりの疾走感と兵の笑顔にテンション上がりまくりで駆け抜けて笑う俺がいた。
それはもうテンション上がり過ぎて、細かい事を忘れちゃう程に………
後ろを笑顔でついていってた兵士達は、あまりにテンションの高いセシリアを見ているうちに、馬で疾走する際の前掲姿勢から更に姿勢を低くしていく…
(姫様。普段はもっと優雅に馬に乗られるのに気分が高揚し過ぎておられるのだろう。あんな無防備にされているのは初めてだ)
(姫様の魅力をこれでもか!と引き立てる水色の下着。そしてその下着に隠される美しいお尻が上下に揺れている…)
(しかもその揺れのせいでドンドン下着がお尻に食い込んでいって、めっちゃエロい!)
このままルーク村まで駆け抜けていかれるなら、俺達は命をかけようとも後ろを必ずついていってみせる!
そう心に誓う兵士達だった。




