23話 王都帰還
2話投稿最終日夜!
ここで第一章終了です。
(カイルは手紙から何か情報を得られたかな?)
アプソン川を離れて、王国の領土に入った。
父からは今回の件は不問にすると書状が届いている。
これで一安心だが、ある意味それより重要なのはカイルの方の用件だ。あのディスナ軍の膂力の秘密が分かれば、王国軍も更に力をつけられる。
そんなことを考えながら外を見ると見渡す限りの平原…そこにあるのは畑とそれを管理する農家の家が立ち並ぶだけだ。ディスナに行く時も農家の人達が近くに来てくれたが、公務でしかも外交で出ている手前、手を振るぐらいしか出来なかった。
帰りも急いでいるわけではないが、やはり立ち止まっていく訳にもいかない。
王国を1番支えているのは農家や漁師の人達。彼らが汗を流し、弛まぬ努力をして作り出す作物があるから王国は潤っている。そんな人達の傍に来ているのに馬車の中から手を振るしかないというのは歯痒い。
必ず機をみて、あなた達のおかげで王国は成り立っているのだ、と自分の口で伝えたいものだ。
「セシリア様、ここは素晴らしい所ですね。ディスナの山岳地帯ばかり見てきた私にとっては、この平原と畑の広さに圧倒されます。」
「そうですね。我々王国を最も支えているのは、ここにいる彼らや危険な海に出てくれる方達です。」
山岳地帯しか知らないウィルにはこの光景は圧巻なのだろう。俺も来る時に初めてみて思ったのだから、そんなに差は無いんだけどね…
「初めて他国に赴くこの緊張…セシリア様はこんな気持ちでディスナに来られ、皆を説き伏せたのですね。僕には到底無理な事です。」
たしかに緊張しまくりだった。説得もたまたま上手くいったようなものだ…ウィルのあの夜の提案が無ければ、反対派の残りをどうするか正直、思い浮かぶ策は無かったからな…
「ふふっ、私も上手くいった事には驚いているぐらいですよ。ドラン議長やダラスさんのような方がいたおかげです。勿論、ウィルもですよ。」
「あはは、お2人は素晴らしい方々ですからね。僕もあの人達のようになりたいと頑張って議員になれたようなものですから。」
この旅で打ち解けられたからか、俺はウィルと呼び、ウィルは一人称が素になった。下手に畏る必要が無くてお互い気が楽だ。歳もほぼ同じだったしな…
(まさか18歳で歳上だとはね…人は見た目では分からないものだよ本当に…)
そんな衝撃の事実にビックリしたな〜、と思っていたら王都の城門が見える距離まできていた。
(おいおい、城門の外に楽士隊がいるぞ?そこまで準備してたのかい…)
楽士隊は国賓を迎える際に国王や国賓が歩く間の演奏を行う者達だ。話し始めたりしたら手を止め、歩き始めると思ったら演奏する。これが簡単なようで意外と難しいもの。楽士隊の隊長はそういう機微に優れてないとなれない。
城門に到着して、俺とウィルは馬車を降りる。敷かれた赤いカーペットの並んで歩くと、反対側から父と母も歩いてきた。
(カイルは城で待機か。国賓が来るのに失礼だと思いそうだが、来るからこそ誰かが城までの道の安全や城での歓迎の準備をしなくてはならない。カイルはそこを任されているのだろう。)
「盛大なお出迎えに感謝します。私がディスナ評議国評議会議員ウィル・バラガンと申します。国王様と王妃様にお目にかかれた事、誠に光栄です。」
「ほほっ、若いのにしっかりしておる。ウィル殿、こちらこそ光栄だ。城で歓迎の支度をさせておるゆえ、そちらでゆっくり話をお聞かせ願いたい。」
「はっ!」
父とウィルの会話が終わり、楽士隊が演奏を再開する。そして2人は馬車に並んで乗り、俺と母は公の場で国王である父より一歩下がったところでついていく。
両親と2週間ぶりに会って、少しも話せないのはちょっと寂しいと思ってしまう辺り、俺は本当に2人の事が好きなんだなと、それを誇りに思いながら歩き始めた…
そして、ここから俺の運命が幕を開ける………
とかそれっぽくいったけど、これって運命っていうのには大袈裟じゃない?……みたいな話は続く!!
こんな作品をここまで読んでくださっている方々、本当にありがとうございます!
まだまだ考えている先は長いですが、ほんのちょっとの頑張りの添えながら、チラ全開で頑張ります!笑




