22話 推測 カイルside
2話投稿最終日朝!
セシリアからの俺宛てと父上宛ての書状が届いた。
父上宛てのは同盟に反対だった者達を全員賛成に説き伏せたこと、それに伴いあちらからも人を派遣する打診がきたので、勝手に話を進めて王都に連れて帰ることが書かれていた。
どちらも王国にとっては朗報と言えるだろう。ディスナからも人を派遣してくる事は予想外のうえに、急だったのならこうするしかない。父上もそれを理解してこの件はお咎め無しとなった。
俺宛ての手紙はわざわざ兵士に、周りに人が居ない所で渡すよう念を押した事から内密な話という事だろうな。
それを受け取った俺は兵士に労いの言葉を掛けてから自室に戻る。
懸念した事も起きたかもしれないが、書かれていないのは何も起こらなかったか、もしくは話す程でもない、という事だ。セシリアがそう決めたのなら俺が口を挟む事もない。あいつなら上手くやれると信じているからな。
そしてこの手紙の最も重要な話はこれだ。
訓練内容は王国より劣っているというのは軍人であるセシリアが言うのであれば間違いないだろう。
それなのに膂力は王国の兵士より上だというのか…
それが何によるものなのかを解明してくれ、という内容だろうこれ。明記はしてないがそう言ってくれる事が嬉しい。つもり俺なら解明出来ると思ってくれているということだから…
(それにしてもそれは不可解な事だ。何が原因だと考えられる?思い付くものを挙げていってみよう。)
1つ目はセシリアも書いているように単純に才能という説。
2つ目は山岳地帯という地理が関係しているという説。
3つ目は装備品による能力の上昇という説。
そして最後は女神ルシアの加護が強くなったという説。
これぐらいだろう。
次はこれらに対する考察と推測。
才能、これが1番ありえそうだからセシリアも手紙に書いたのだろうが、俺はありえるとは思えない。どんな才能だろうとそれを開花させるためには努力が必要だ。お粗末な訓練で伸ばせたとは考えにくい。
それを解消する可能性として2つ目の山岳地帯という地理。アスリートも行う高地トレーニングのような効果が常に働いているということなら訓練を補う要素にはなるかもしれない。
この説はありえないとは言い切れないな。戻ってきたらセシリアと話してみよう。
3つ目の装備品による効果は無いな…ついゲーム脳で考えてしまったが、この世界にはそんな便利な物は、少なくても俺が知ってるかぎりでは存在しない。
女神ルシアの加護はどうなのだろうか?パッと思い浮かびはしたが、加護というのは曖昧で詳しくその仕組みを知る者はいない。
まぁ思い浮かんだ以上は気になってしまうな。
とりあえず加護の存在は後回しにして、女神ルシアの事を調べてみよう。
(とりあえずは図書館で関連の本を探してみるか…)
この選択が後に王国に力をもたらすことを
俺はまだ知らない………




