1話 王国の双子
文章が下手すぎる…
書き手の人達って改めて凄いんだなって感じます。
短い人生だったが、楽しく生きた。
裕福とは言えないまでも切羽詰まる程はお金に困る事も無く、優しい両親とかけがえのない友人にも恵まれた。心残りが無いと言えば嘘になるが、満ち足りた人生だったと…
大学を出て、親友の海斗と共に歩きながら帰り道の横断歩道を渡っていたとき、止まるどころかブレーキさえ踏まなかったであろうトラックに海斗と俺は轢かれた…
即死では無かった奇跡が幸か不幸か、激痛に苛まれながら投げ出された道路に倒れ、最後に思う事は…
共に轢かれた親友の安否と、両親への先に逝ってしまう親不孝を悔やむ気持ち。色んな想い出が走馬灯のように駆け抜けていくうち、俺は静かに目を閉じその生涯を終えた…はずだった。
だが、瞼に感じる光の刺激で、そっと目を開く。
(ぐっ…なんだこの光は。俺は死んだ筈…これが天国への光とかだったりするのか?)
そこには、清廉な顔立ちをした気品を感じる中年らしき男の姿が視界一杯に広がっていた。
(うぉっ!!誰だこのイケメンは!?……もしかしてあの事故から生還出来たのか?だとしてもこの人はいったい…?)
自分の事をずっと幸せそうな顔で眺められるというのもなかなか落ち着かないぞ…どうしたらいいか分からず、ただその顔を見るしか出来ない…
「むぅ…カイルもそうであったが、この子も泣かぬな。初めてだから詳しくは分からぬが、赤子とはもっと元気に泣くものではないのか?」
「左様ですね。本来は泣く事が無事に生まれた証のようなものなのですが、しかし見た限りでは王子と姫に悪い所は見受けられません。とりあえずは様子を見るしかないかと。」
男性の隣に立つ白衣を着た者がそう答える。この格好は医者なのか?あれだけの事故で悪い所が無いのも変だが、それよりも赤子?王子と姫?何を言ってるんだ?
頭の混乱が更に増してきた。どうしたものかと周りを見渡すと、静かで気付かなかったが隣に赤ちゃんがいた。
(あぁ…ヤバいな。会話の内容や自身の身体が思うように動かない事、更に隣にいる赤ちゃん…)
(あいつがよく話していた転生ものと言われる話の始まりにそっくりだ。…まぁ転生前の女神やら神様やらには会っていないが、これはそういうことなんだろうな。)
あいつこと海斗ほど頭は良くないが、状況を把握してしまった。ある意味海斗のおかげだな…転生ものというジャンルをあいつに教えてもらわなければ今頃、この頭の混乱から抜け出せなかった。
死んで生まれ変わっても助けてくれる1番信頼していた友を思って涙を流したつもりが、赤ちゃんだからか泣き叫ぶようになってしまっていた。
「おぉ!セシリアが泣き出したら、カイルも泣き出したな。…生まれて間もないと言うのに、2人にはもう絆が紡がれているようだ。」
一室の窓から覗く晴れ渡る空と自分を見て微笑み幸せそうな人。暖かな微睡みの中、こうしてヴァイオレット王国に、後の希望の光となる双子の王子と姫が誕生したのだった。
カイル「異世界転生キタァァァァ!!!」