99話 机になりたい!
さすがにチラリズムのネタが無くなってきて、同じようなものばかりになってきてる気がします…。
というかこんな感じのネタ、前にもやったか?と似たようなネタを書いているかもしれない不安が出てきてますw
もし前にも似たようなのあったじゃん!と思われる方がいらっしゃいましたら、お許し下さい………。
ちょっとした見せ物扱いを体験した休憩の翌日、今日は将軍としての職務に追われる日だ。王国の貴重な成長の時間を安定させる為には、森林から来る魔物を確実に討伐して、民心を落ち着かせていないと妨げになってしまう。
それに次の遠征は準備をしっかりしておかないと、不測の事態が起こる可能性がある。俺といつもの兵士団のメンツならそんな心配はほとんど無いが、これまで内政にばかり携わってきた未来の国王たるカイルが従軍するからだ。
次代の国王に戦歴が一切無いというのは他国に舐められるかもしれない。それに帝国との戦争が始まってから初陣なんてことになるのは非常にマズい。立派な国王になれるのだと内外に示す目的と、いつか起こるかもしれない大規模な戦争の前に経験を積ませておくのが目的。
(現場を知らない上司が場を掻き乱す事は現代にもあるって聞くし、何より魔物相手ではあるが、『命を奪う』という行為に躊躇いを持たないようにするため…)
戦争で命を奪いたくないと敵が死なないように戦う。そんなの物語の中だけの綺麗事だ。敵が生き残るという事は、その敵が次は味方の命を奪うかもしれないという可能性を残す事に繋がる。敵に不必要な情けをかけて味方が死ぬことになるなら、そんな甘さは邪魔だと俺は考える。
……―――俺自身が軍人になった当初は、平和だった前世で見てきたそんな物語の中の甘さを捨て切れずに、部下を殺されてしまった経験をした。
その話を俺から聞いているカイルなら大丈夫だと思いたい。だが人間は自身が身を以て体験しないと、物事をしっかり理解出来ないものだというのも自分で実感している。
―――だからカイルにもしっかり自分で体験してもらう。その上で無事に帰還も出来るようにしないといけない…。
(この調整が非常に難しい…。カイルの動揺がどれぐらいで、その後の行動にどれだけ影響を及ぼすか?ある程度の予測はしてるし、頭が良いカイルなら冷静に対処するとは思う。ただ確実とは言えないのが不安要素だ)
経験の無い事というのは自分でさえどう動くか分からない時もあるんだ。それはいくら親友という間柄でも同じこと。不安要素を全て消す事は出来ないが、ここはカイルを信じるしかないだろう。
まだこちらの準備とカイルのスケジュール調整の関係で、出発する日時も決まってないんだ。今は出来る仕事から片付けよう!
そう決めて書類と格闘するセシリア。時折、兵士が確認の書類を携えて入室してくる。そして入室してくる兵士はセシリアを目にした瞬間―――ちょっとだらしのない顔になるのを抑えられない者が続出していた。
(っ!!セシリア様の胸が机の上に乗ってる〜!!)
(やっほーい!!暫く見れてなかった分、眼福の至りだ〜!)
暫く執務室で仕事をする機会が減っていたセシリア。実は兵士達はその事が非常に残念だった…。
その理由は―――セシリアは執務に集中し出すと、無意識にそこそこ重たいそれが邪魔になるのか、胸を机に乗せて楽に姿勢になろうとする癖があったからだった!
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