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英雄譚はいつも紅に染まる  作者: パン定食
部活に入ろう!
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ミーヤの固有スキル

 モエをベンチの上に寝かせた後、続いて前に出てきたのはミーヤだった。

 今度は魔法を研究する部活のアピールタイムである。


「ふははは、矮小なる者どもよ、この大魔導士ミーヤの眷属に加わりたいものは出てくるがよいぞ!!」


 高笑いをしながらポーズを決めるも、周りの反応は冷ややかで、誰も前に出てこない。


「ふは、ふははははー、どうした遠慮はいらぬぞ! 我こそはという者、おらぬかぁ!?」


 しーん……


「ぐすん……あ、あのぅ……お、お願いやけん、誰かでてきてもらえませんか?」


 さっきまでの上から目線はどこへやら、終いには涙目になりながらお願いする始末である。

 さすがに見兼ねたのか、ため息をつきながらベルトーシカが名乗りを上げる。


「仕方ないわね。ここはわたしが行くわ」

「あ、ありがとうございますぅ」


 ようやく出てきた下級生にやたら低姿勢のミーヤだった。そして自身の両頬を叩き気合を入れ直す。


「よし、ここから仕切り直しとよ、お互い魔法だけの勝負とよ!!」

「ええ、わかっているわ。とりあえず障壁(バリア)もないしあまり大きな魔法は使わないようにしましょ」

「そやね、じゃあうちからいくけん。空気圧(エアプレッシャー)!」


 見えない力がベルトーシカを打ち付ける。軽く殴られた程度の痛みだ。


「あなたの属性は風ね。見えない分防ぐのも難しい良い魔法ね。じゃあ次はこっちね、氷の処女(アイスメイデン)!」


 『鉄の処女(アイアンメイデン)』ならぬ、氷でできた拷問具が現れる。その拷問具から伸びた腕がミーヤを捕らえる。

 拷問具の扉が開き、その中へミーヤを入れると中の拘束具が自由を奪う。扉が静かに閉まっていくが、その扉の内側には氷の針がびっしりとついている。


「ぴゃー、なんこれ、怖い!! ってかこれ死ぬやつやけんね!? あんまり大きな魔法使わんゆうとったよね? これ死……」


 氷の処女の扉がぴたりと閉まってしまった。


「ぴゃぁぁぁぁ、こわかぁぁ!! お前鬼かっ!!」


 いつの間にかベルトーシカの後ろにミーヤがいた。四つん這いになりながら半べそをかいている。


「それが噂の空間移動? 珍しい魔法よね?」

「ま、まあね、我にかかればこの程度の魔法造作もないことよ! 砂の爪(サンドクロー)


 四つん這いになりながらも必死に強がり、魔法を放つと地面を這う砂の爪がベルトーシカを襲う。


氷の壁(アイスウォール)!!」


 とっさに氷の壁を作り爪を防ぐ。だがその表情は難しいものだった。


「おかしいわね、さっきのは地属性……なんで二つの属性が使えるの?」

「ふははは、そこが天才たる由縁! 我は凡人とは違うのだよ、凡人とはぁぁ!!」


 ミーヤの態度にいらついたベルトーシカは氷の槍を投げつける。その目は冷たい威圧感を放っていた。


「いいから説明なさい!」

「は、はいぃ……えっと、うちは土と風、両方の属性が使える得意体質(固有スキル)なんよ。空間移動はその合同魔法、一人ではうちしか使えんオリジナルとよ」

「……なるほど、どうりで珍しいわけね……もういいわ。あなたの実力は大体わかったし、この勝負はこれくらいにしておきましょう」


 ベルトーシカは踵を返し、戻ってゆく。


「えっ、あれ? うちまだとっておきの魔法が残っとるんやけど? ちょっと、ねぇってばぁ!!」


ミーヤの訴えも空しく、もう続ける意思はない様でベルトーシカは止まらない。


「さぁ次は武器訓練の部活紹介でしょ? さっさとやってくれる?」

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