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英雄譚はいつも紅に染まる  作者: パン定食
部活に入ろう!
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アイテム対決

「んじゃー、アイテムだけでバトるってことで魔法は無しね。あーしも忍術使わないからねー」


 モエはヨハンナと手合わせのルール確認を行うと、ヨハンナも快諾する。

 今度は様々なアイテム制作を主とする部活動のアピールタイムだ。


「うん、オッケーだよー。それじゃ早速……傀儡の行進(パペットマーチング)


 ヨハンナの大きな帽子の中からわらわらとミニゴーレムが這い出てくる。


「なになに? これチョーカワイイ!!」


 よちよちと向かってくるゴーレム達に目を輝かせているモエに、ゴーレム達は一斉に指を向ける。

何事かと首をかしげるモエに向かい、その指先から一斉に炎を噴出させる。


「あちゃちゃちゃ、見かけによらず凶暴(鬼モンスター)……かわいさで油断させる作戦か、おそろしい子!」


 突然の炎を回避しながら一枚の布を取り出す。その布を頭からかぶるとモエの姿が消え去った。


「ありゃ、消えちゃった……大方光の屈折を利用した透明マントってところか?だけどね……」


 モエの姿が消えたことにさして驚きもせず分析をするヨハンナ。

 ミニゴーレムたちも目標を見失うことなくよちよち進み、跳ねると何もない空間にしがみつく。


「早く引っぺがさないと、その子たち爆発しちゃうよ?」

「えぇぇぇ!! あぶなっ!!」


 ヨハンナの助言にゴーレム達がひっついた布を取り払うとすぐさま爆発が起こる。


「怖ぁぁぁ、マジおそろしい子たちだよ、場所バレしたのマジ疑問なんだけど?」

「そんなの簡単だよ。この子たちは匂いを感知して追っていくからね、姿が見えなくても問題ないんだよ」

「匂い!? ヤバッ! あーしってもしかして臭い!?」


 モエは自分の匂いを念入りに嗅ぎ始める。


「どれどれ?」


 ヨハンナもしれっと近づき、くんかくんかと匂いを嗅ぐ――

フリをして、いきなり電光棒(ライトニングロッド)を押し当てようとすると、モエはすぐさまヨハンナの腕をつかみ、それを阻止する。


「おっと、油断ならないなぁ。でも君自身はそんなに強いわけじゃなさそうだね?」

「……そうだよ、力も早さも人並み。だからこうして策を(ろう)して倒すしかないんだよ」

「ふぅん……頑張る子はあーしも好きだよ」


 力を緩めることなくモエは屈託のない笑顔を浮かべる。


「でもね、ちゃんと身体も鍛えるべきだよ。道具を活かせる幅も広げれるから……こんな風にね」


 足をかけヨハンナを押し倒すと、腕の袖が破け、刃が現れる。その刃を首に押し当てる。


「それに、最終手段は隠しておいた方がいいかな?」

「こんな風に?」


 ヨハンナの口から風船が膨らむ。それがはじけ粉が舞う。それを察知したモエはすぐさま飛びのく。


「……あまり関心しないね。今の瞬間でも、動脈切り裂くくらいのことは、でき……た……よ」


 モエの意識が朦朧(もうろう)となっているのが傍目(はため)からでも分かる。

 舞った粉は眠り薬だったのだろう、こっくりこっくりと船を漕ぐと崩れ落ち、眠りに落ちた。


「うーん、実戦だったらボクは脈を斬られ、先輩は眠っただけ……悔しいけどボクの負けだねこりゃ」


 ヨハンナはやれやれという仕草を示すと潔く負けを認めた。

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